エアコンレスに小型燃料タンク……ってそんなのアリ!?  ただ燃費追求のためだけに生まれた「やりすぎクルマ」5台 (1/2ページ)

この記事をまとめると

■ひと昔前の自動車業界では燃費の追及が凄まじかった

■装備を削って意地で数値を稼いだモデルも

■今回はストイックに燃費を極めたクルマを紹介

低燃費競争に勝つために生まれたストイックすぎるマシンたち

 地球環境の保全は喫緊の課題であり、もちろん筆者を含む多くの者が、できるだけエコ・コンシャスな生き方をするべきだとは思っている。だが……エコ活動があまりにも先鋭化しすぎている人を見ると、「ちょっとついていけません!」という気持ちになってしまうのも事実である。

 そしてそれは、クルマのエコ活動においてもいえることだ。

 省燃費性能を追求するのは良きことであるとは思うものの、あまりにも先鋭化しすぎたそれを見ると、「ちょっとついていけません!」「さすがにやりすぎかと思います!」「本末転倒でしょ!」とも言いたくなってくるのだ。

 一例としては初代ホンダ・インサイトだろうか。

 現在でこそホンダ インサイトは「ちょっと地味めなエコ系セダン」という存在に大変身しているが、1999年8月に登場した初代は「孤高の燃費アタッカー」だった。

 初代インサイトは1999年当時の量産ガソリン車(ハイブリッド車)としては世界に例を見ない超絶低燃費「35km/L(10・15モード)」を実現させたわけだが、その代償は大きかった。

 スポーツカーでもないのに乗車定員はふたりとなってしまい、空力性能を徹底的に追求するため、後輪が隠されたリヤホイールスカートを採用。まぁこのリヤホイールスカートは「逆にちょっとカッコいい」ともいえるが、シート背後の本来なら荷室となるべきスペースにはバッテリーが置かれていたため、おいそれと荷物を積むこともできないクルマだった(一応幅65cm/奥行き40cm/深さ30cmの小さな掘りごたつみたいな収納スペースはあったが)。

 もちろん初代インサイトは前述したとおり「孤高の燃費アタッカー」であったため、筆者がいま挙げたような実用的な観点から批判するのはお門違いである。だが、すべてがあまりにも先鋭的すぎたため、「……ここまでの“エコ”を誰が求めるのか? ていうか誰得?」と、なんとも微妙な気持ちにさせられるクルマではあったのだ。

 この初代インサイトから数カ月遅れて1999年12月に発売された三菱ピスタチオもまた――初代インサイトとはずいぶん異なるフォルムとコンセプトではあるが──孤高の燃費アタッカーだったといっていいだろう。

 ピスタチオは、当時の三菱ミニカをベースとする3ドアハッチバックボディに、当時世界最小だった1.1リッターの直噴エンジンを搭載したモデル。トランスミッションは軽量な5速MTのみで、その昔は希少だった「アイドリングストップ機構」も採用したことで、当時の純ガソリンエンジン車としては世界一だった「30km/L(10・15モード)」のカタログ燃費を実現させた。

 まぁこちらも一般ユーザーへの拡販を考えたモデルではなく、環境保全に取り組んでいる自治体や公益企業などの法人のみを対象に50台弱が販売された試験的なクルマだ。そのため、あれやこれやと2023年の視点からケチをつけるのも野暮な話ではある。しかしそれでも、135/80R13というか細いタイヤが、カーブを曲がるたびに「腰砕け」的になってしまったのはいかがなものかと思うし、これが納車された自治体や公益企業の人も、ちょっと面食らったのではないかと推測する。


伊達軍曹 DATE GUNSO

自動車ライター

愛車
スバル・レヴォーグ STI Sport EX
趣味
絵画制作
好きな有名人
町田 康

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