この記事をまとめると
■ダイハツ・ハイゼットにはキャビンの後部を荷台にしたデッキバンが用意されている
■もともとは街の小さな電器店の配送用として開発されたものだ
■アウトドアブームの高まりでホビーやアウトドアの相棒として愛用する人も多い
日本車で唯一無二のボディスタイルとなるデッキバン
ダイハツの軽商用バンであるハイゼットに設定されているデッキバン。2021年12月に登場した新型では上級モデルであるアトレーにも設定されているが、じつは根強いファンを持つボディタイプとなっている。
このデッキバン、もともとは街の小さな電器店の配達用に冷蔵庫を立てたまま積載できるようにと、当時の松下電器産業と共同で開発されたもので、ハイゼットバンの荷台部分をトラックのように改装したものが始まりだった。
実際に登場してみると電器店での配送はもちろんのこと、汚れものは荷台に、汚したくないものは室内に分けて積載できることがウケて、そのほかさまざまな業種のユーザーから愛用されることになる。
とくに維持費が安く、取りまわし性に優れる軽自動車であることは高く評価され、レジャー用途に活用する一般ユーザーも増え、上級仕様のアトレーをベースとしたデッキバンも特別仕様車として登場するほどだったのだ。
もちろんデッキバンはビジネスユーザーだけでなく、釣りや狩猟を楽しむ層からは、臭いの強いものや汚れものは荷台に載せ、そのほかの道具は室内に載せることができると好評で、アウトドアレジャーを楽しむ層からも、同様の理由で人気を集めていた。
その後もハイゼットがフルモデルチェンジを実施するたびにデッキバンは設定され続けており、現在販売中の現行型では、再び上級モデルのアトレーにもデッキバンを設定。久々のターボモデルのデッキバン登場にレジャーユースのユーザーからは歓迎する声が聞かれた。
ちなみに決して多くはないものの、安定した人気を獲得したデッキバンに対して、ライバルメーカーも指を咥えて見ていたワケではなく、2002年には三菱のミニキャブとそのOEMモデルである日産クリッパーに「ダブルキャブ」と名付けられたデッキバンと同じ形状の特装車を設定している。
しかし、長い歴史を持ち、多くの固定ファンを獲得していたハイゼットデッキバンの牙城を崩すことはできず、残念ながら1世代のみで姿を消すこととなってしまった。
現在は開発のきっかけとなった街の電器屋さんはかなり減少してしまっているが、レジャーユースのユーザーからの支持も厚いところを見ると、ダイハツのデッキバンはまだまだ安泰と言えそうだ。