この記事をまとめると
■海外モデルを国内で販売してもヒットすることは極めて少ない
■たとえば軽自動車が売れてる理由の1つに日本国内での使い勝手の良さが挙げられる
■海外向けに設計したモデルでは日本での使い方とミスマッチなのが売れない要因だ
海外向けのクルマが日本で全然売れない根本的な理由とは
1970〜1980年代には、日本車が北米を中心とした海外でも好調に売られるようになったが、それでも国内/海外の販売比率は各50%前後だった。日本向けに開発された商品が、海外でも売られて人気を高めた。
ところが1990年を過ぎると、状況が変わり始めた。1989年の消費税導入で3ナンバー車の不利が撤廃され、海外向けに開発された車両を日本国内にも流用するようになったからだ。災いしたのは、ワイドな3ナンバーサイズというより、国内市場を軽視する海外向けのクルマ作りだった。外観や内装のデザイン、視界、運転姿勢などが、すべて日本のユーザーに合わず、これが売れ行きを下げる要因になった。
しかも1990年以降は、バブル経済の崩壊で景気も悪化したから、国内の新車販売台数はさらに急落した。1990年はピークの778万台だったが、1995年は687万台、2000年は596万台、2010年は496万台と減少した。コロナ禍直前の2019年は少し持ち直して520万台であったが、2022年はコロナ禍の影響で420万台に留まった。今の国内販売台数は、コロナ禍があるとはいえ、1990年の54%だ。
その一方で、日本メーカーの海外販売比率は上昇した。1990年頃は前述の約50%だったが、1995年頃は60%に増えて、2000年代には70%に達した。2010年以降は、80%を超えるメーカーも多い。日本メーカーの大半が、国内販売比率を20%以下に下げて、海外で稼ぐようになった。