いま新車は「残価設定ローン」か実質「リース」で乗るのが主流! イマドキで片付けられない「社会情勢への不安」の現れ (1/2ページ)

この記事をまとめると

■現在の新車購入の支払い事情について解説

■ローンやリースを利用して新車を乗るのがスタンダード

■いまの時代に現金一括払いなどは難しいようだ

残価設定ローンを利用する人が増えている

 日本でも新車の買い方として現金一括払いだけでなく、残価設定ローンの利用がかなり増え、最近ではトヨタの「KINTO」やホンダの「楽まる」、スズキの「定額マイカー7」など個人向けカーリースプランも充実してきている。KINTOでは全般的に納期遅延傾向となっている人気車をディーラーで購入するより、KINTOを利用したほうが早く手にすることができることも多く、それを現状ではウリのひとつにしている。

 とくに売れ筋の2リッターHEV(ハイブリッド車)で納車まで2年待ちと販売現場で案内している新型プリウスでは、トヨタ系正規ディーラーでも「KINTOならすぐ乗れますよ」とよく案内される。ホンダでもディーラーで楽まるの積極利用を勧めてくる。本来新車を売らなければいけないディーラーで個人向けカーリース、つまり「クルマを借用しろ」というのは少々奇妙な話にも思えるが、価値観が多様化するなかでは、駐車場を借りていれば月々の駐車場代とガソリン代や有料道路代ぐらい以外はすべて税金など契約期間中にかかる維持費すべてをコミコミにした月額リース料を払うだけで乗ることができることに魅力を感じる人も増えてきているのかもしれない。

「リース型ローン」として誕生した残価設定ローンだが、最近ではフルローン(頭金なし)で支払いプランを組むひとも珍しくないとのことなので、限りなくリースに近づいている。さらに何台も残価設定ローンを使って新車を乗り継いでいるような、残価設定ローンを使い慣れた人が個人向けカーリースに魅力を感じることも多いかもしれない。

 KINTOはそれでも既存のカーリースに近いものとなっており、任意保険料もリース料金に含まれてしまうので、それまで契約していて割引も進んでいる自分の任意保険を使うことはできないが、ホンダでは任意保険は原則リース料金には含まれず、スズキでは割引率を継承できるとしている。ホンダではさらに契約途中での乗り換えもできると説明してきた。ローンでは下取り査定額にて残債を相殺できれば支払い途中でも乗り換えはできるが、楽まるでも下取り査定額で中途解約金の精算が可能だという説明を受けた。

 いまどきのディーラーローン、とくに残価設定ローンでは支払途中で下取り査定額にて残債を相殺して乗り換えるのはほぼ当たり前となっている。それでも残債が処理できなかった場合は、処理できなかった残債を乗り換える新車のローン元金に加算して支払う「借り換え」のようなものも珍しくなくなってきている。さらには、他メーカー車でローン支払い途中でも下取りに応じることも珍しくなくなっている。そもそも顧客の囲い込みを目的とした残価設定ローンも、いまでは流動性が高く、当初の目的を十分果たしているとは言えない。その意味ではカーリースはそこまで流動性が現状では少なく、囲い込みを期待して積極導入しているようにも見える。また、いままで新車ディーラーを訪れる機会のないような、まったく新たな客層の取り込みに有効とも考えているようである。カーシェアリングを利用しているなか、「新車を自分で持ったほうがいいのでは」と考え新車購入する人も少なくないというので、個人向けカーリースはそのような人たちが自分専用のクルマを持つことへの敷居を下げる効果もあるようだ。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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2019年式トヨタ・カローラ セダン S
趣味
乗りバス(路線バスに乗って小旅行すること)
好きな有名人
渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

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