この記事をまとめると
■ホンダのピュアスポーツモデルとして「タイプR」が存在する
■「タイプR」はこれまで、シビック、インテグラ、アコード、NSXにしか設定されていない
■「タイプR」が出て欲しかったモデルを独断と偏見でピックアップしてみた
タイプRが欲しかったクルマを今一度振り返る
ホンダのスポーツモデルのなかでもとびきりピュアなモデルにのみ冠することが許された「タイプR」の称号。1992年に初代NSXに初めて設定されて以来、インテグラとシビック、そして日本国外でアコードのみがその名前を背負うことが許され、現在はシビックのみがその名前を受け継ぐモデルとなっている。
今回はそんなタイプRの名前を持つことは叶わなかったが、当時、タイプRの設定を熱望されたモデルや、タイプRが設定されていれば……と思えるモデルを独断と偏見でピックアップしてみたい。
S2000
やはりタイプRの設定がもっとも熱望されていたのは、2009年に惜しまれつつ生産を終了したホンダの誇るオープン2シーターモデルであるS2000だろう。
ホンダとしては珍しいFRレイアウトを採用したS2000は、前後50:50の理想的な重量配分を実現しただけでなく、S2000用に開発されたF20C型エンジンは、2リッターながら250馬力を8300回転で発生させるという市販ユニットとは思えない仕上がりを持ったもの。
後期型は2.2リッター化がなされ、GTマシンとしての性能もプラスしたが、それでもスポーツ度は残されており、2007年にはニューヨーク国際オートショーで「CR」というプロトタイプを発表。
このCRはクラブレーサーの頭文字を採ったもので、のちに北米市場のみで販売されたのだが、ハードなサスペンションにボディ補強、そして軽量化にも力が入れられており、エアコンやオーディオ(こちらはオプションで装着可能)、さらに幌までもがレスとなる本格的なものだった。
当時はこのモデルが日本では「タイプR」として販売されるのでは? という声もあったが、実際はエアロパーツ類こそCRと共通ながら快適装備を残し、ワインディングを気持ちよく走ることができるセッティングとした「タイプS」に留まっている。
CR-X(2代目)
ホットハッチとして名の知れたシビックをベースに、ショートホイールベース化でコンパクトにし、リヤシートも申し訳程度のものとしたFFライトウェイトスポーツとして生まれたCR-X。
もともとジムカーナなどのモータースポーツで活躍をしていた車種ではあったが、1989年のマイナーチェンジのタイミングでシビックと同じく160馬力を発生するB16A型DOHC VTECエンジンを搭載し、その人気を不動のものとしたのだ。
その後、CR-XはNSXタイプRが登場するよりも先にフルモデルチェンジを果たし、オープンエアモータリングを楽しむことができる「CR-Xデルソル」へと大きく舵を切ることとなったのだが、もし初代、2代目のコンセプトを受け継ぐ3代目が存在していたら、タイプRが設定されたのはシビックではなくCR-Xだったかもしれない。