この記事をまとめると
■走りのためにリヤシートをなくしたクルマがある
■GRカローラモリゾウエディションやメガーヌR.S.トロフィーRが該当
■リヤシートの撤去はどれくらいの効果があるのだろうか?
2シーター化した「本気モデル」の走りとは?
GRカローラモリゾウエディションにメガーヌR.S.トロフィーR、自動車メーカーが本気で走りの性能を特化させたこの二台に共通して話題となったのは、軽量化のためにリヤシートを撤去して、2シーター化してしまったこと。
GRカローラモリゾウエディションは、リヤシートと共に25.3kg制振材などを廃することで、GRカローラのRZに対し、約30kg軽くなっている(リヤシートのスペースには、ソフトカバー付きのボディ補強ブレースが入っている)。
またメガーヌR.S.トロフィーRも、リヤシートをなくして25.3kgのダイエットを行なっている(リヤワイパーも廃止)。
市販車で、5ドアハッチバックにもかかわらず乗車定員を2名にしてしまうというのは、かなり大胆な手法だが、はたしてこれがどれだけパフォーマンスを向上させるのか。
クルマの運動性能を向上させるには、慣性を小さくするのが王道で、慣性は物体の質量に比例する。したがってクルマの場合、車体が軽ければ軽いほど、加速は鋭くなり、コーナーは曲がりやすくなり、ブレーキはよく利くようになる。
だからレーシングカーの場合、放っておくと際限なくクルマを軽くしようとしてしまうわけだが、軽量化にはコストがかかるのと、安全性を犠牲にしてしまう可能性があるので、レギュレーションで最低重量が決められている。
たとえば、2022~2023年のF1マシンの最低重量は、798kg。V6ターボハイブリッドのPUは約1000馬力といわれているが、こうしたF1マシンのフューエルエフェクト(燃料搭載量がラップタイムに与える影響を数値化したもの)が10kgあたり平均で0.3秒ほど。
GRカローラモリゾウエディションのように、30kg軽くなれば、約1秒ラップタイムが縮むことになる。
とはいえ、F1ではあまりにも極端なので、同じハコ車(?)のスーパーGTの車両で考えてみよう。