この記事をまとめると
■かつてクルマに乗る際は後席が安全と考えられていた
■現在どの座席が安全かは事故の形態によって変わるため、一概に決めることはできない
■どの座席であってもシートベルトをしてヘッドレストを適切な位置に調整して正しい姿勢で乗車するのがもっとも安全
事故の際にどの位置からぶつかるかで危険度の高い座席は異なる
その昔、私が子どものころ(昭和30~40年代)には、クルマに同乗する際は後席が安全といわれた。今日でも、タクシーやハイヤーに乗る客は後席に座る。
一方、欧州へ行くと、タクシーも助手席にまず客を乗せる。いきなり後席に乗ろうとすると怪訝な目を向けられる。後席から強盗されるのではないかと思われるかもしれない。海外でも米国では、ニューヨークのタクシーのように後席に座る。日本と同じだ。
安全という視点で、どの座席に座るのがよいかには所説ある。後席は、前面衝突するときに衝撃が伝わりにくいのではないかという仮説から安全だといわれたのだろう。
だが、衝突実験を見れば、衝撃は前席も後席も変わらず、シートベルトをしていない後席乗員が前席側へ飛び込んでゆく動画がある。しかも、前席に座る人を損傷させる懸念もある。また、後ろから追突されれば、先に衝撃を受けるのが後席だ。
助手席が安全との説も、シートベルトをしていなければフロントウインドウを破って外へ放り出される可能性がある。
右側か左側かという点においても、かつては歩道側のほうが対向車との衝突で、着座位置が遠いぶん安全との説もあった。しかし、側面衝突を考えれば、右も左も危険度は同じだろう。路地から飛び出したクルマがまずぶつかるのは、歩道側の車体側面だ。