街行く人は興味津々! 東京都内のショッピングセンターに20台以上のEV&BEVが集結した生活密着イベントの中身 (1/2ページ)

この記事をまとめると

■3月18〜19日に「EV:LIFE FUTAKOTAMAGAWA 2023」が開催された

■二子玉川ライズショッピングセンターの広場に国内外17ブランド20台以上のEV/BEVが集まった

■ステランティスのブースにはジープ・ラングラー・ルビコン4xe、フィアット500e、プジョーe-208の3台が展示された

休日のショッピングセンターの広場でEV展示イベント

 いまどきは何ごともサイクルが早いから“ひと昔”のサイクルも変わってるのだろうけど、たとえば10年前にはこんな光景を見ることがあるとは、少なくともボクは想像すらしていなかった。都市型ショッピングコンプレックスの真ん中を貫いてる広い通路とメインとなる広場にモーター駆動のクルマばかりがズラリと並び、買い物や食事、映画鑑賞に来たと思しき人たちが展示そのものも楽しんでる。オールドスクールなクルマ好きとしては、ああ、時代は移り変わるのだな、とあらためて感じさせられたわけだ。

 3月18〜19日に東京・世田谷の二子玉川ライズショッピングセンターで行われた「EV:LIFE FUTAKOTAMAGAWA 2023」は、自動車雑誌『LE VOLANT』が2021年から年に一度開催してるイベントだ。そのタイトルからも想像できるように、BEVあるいはPHEV、つまりはモーター駆動もしくはモーター駆動をメインとして走行するクルマのみを集めて展示する催しだ。

 BEVもPHEVも年々車種が増えてきてはいるが、イベントホールではなく、たとえ通りすがりの人であってもクルマを間近で見ることができるような場所にそれらをズラリと並べるイベントは、ほかでは聞いたことがない。きっかけがなければショールームに行くことなどない一般の人たちのEVに対する精神的な距離感を縮めることのできる、貴重な催しといえるだろう。

 第3回目となった今回は、国内外の17のブランドが出展。展示されるのはプロダクションモデルを中心としているが、なかには発売前のプロトタイプや導入が期待される国内未導入のクルマも並べられていて、事情通のファンたちを驚かせていた。

 また、クラシックチンクエチェントや初代ビートルなどの歴史的名車をBEVにコンバートしたクルマが一角に並んでいたり、給電機能のあるBEVのバッテリーを利用しての電子ピアノのライヴが行われたり、会場に面している蔦屋家電の協力で家電製品を使ったキャンプ提案するコーナーが作られていたりと、環境意識うんぬんだけではない、EVのある明るい毎日、EVのある楽しい生活を想起させるような企画も行われていた。

 周辺道路を走行できる試乗車も20台以上用意されていて、EVを体験してみたい人たちにとっての敷居を大幅に引き下げていた。その気になれば、それこそ1日をEVづくしで楽しめるようなイベントだった。

 その会場のなかで多くの人が脚を停めていた一角が、輸入車のなかでも趣味性の高いブランドが並ぶ、ステランティスのブース。展示されていたのが、どこにでも行けそうなジープ、街でよく見かけるかわいい姿によく似たフィアット、スタイリッシュなコンパクトハッチそのもののプジョー、という3つのモデル。それぞれがはっきりとしたキャラクターを持っていて自然と目を惹きつけられるのもあるけれど、いずれもクルマそのものが過剰なEVアピールをしてない自然な雰囲気をまとっているから、「これもEVなの?」というちょっとした意外性に、気持ちが惹きつけられるところもあるのかもしれない。

 ジープが展示していたのは、ラインアップのなかでもっともオフロード性能が高いラングラーのPHEVモデル、上陸したばかりのラングラー・ルビコン4xe。ラングラーのなかでももっとも悪路走破性が高いモデルにのみ与えられるルビコンのネーミングは、緻密な電子制御と抜群の相性のよさを見せるモーター駆動を新たな武器にしてのもの。

 モーターだけで42kmの航続距離があるから、大自然が奏でる静かで美しい音だけをつれ合いに道なき道を走ることもできる。

 フィアットの500eは、ブランド初の量産BEVモデル。現在はICE(=内燃エンジン)の500も併売されていて、それをベースに電気自動車化したと誤解されがちだけど、じつは1957年に誕生してイタリアの市井の人たちへ誰かと一緒に自由に移動できることの素晴らしさを分け与えた稀代の名車、ヌォーヴァ500が持つ世界観を、電動化時代を前に解釈しなおしてゼロから設計・開発したモデル。

 古くからの500ならではのさまざまな楽しさとEVだからこそ得られるメリットや味わいが綺麗に融合したモデルに仕上げられている。ちなみに500eのラインアップには、ピュアEVでは世界唯一となるオープントップのモデルも存在している。

 プジョーのコーナーに佇んでいたのは、e-208。小粋な雰囲気と小気味のいい走りを併せ持った5ドアハッチバック、208シリーズの1台で、見た目もディテール以外はICE搭載モデルとほとんど変わらない。けれど持ち前のスポーティなハンドリングや乗り心地の上質さ、それに力強さは、こちらのBEVモデルのほうが一枚上手。

 まるで208シリーズはEVモデルを基本に設計・開発されたんじゃないか? とすら思えるほどの完成度だ。そのパフォーマンスの高さとワル目立ちしないけれど洒落者ぶりでは誰にも負けないパリジャン&パリジェンヌそのものといったルックスのコンビネーションが、とても魅力的な1台だ。


嶋田智之 SHIMADA TOMOYUKI

2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
2001年式アルファロメオ166/1970年式フィアット500L
趣味
クルマで走ること、本を読むこと
好きな有名人
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