この記事をまとめると
■三菱にはかつて「カリスマ」というセダンがあった
■ボルボのS40/V40とは兄弟車であった
■海外では人気でランサーエボリューションを「カリスマGT」として販売していたほど
名前があまりにも強すぎた不運のセダン
一時期は各メーカーがさまざまなセダンをリリースしていたが、セダン不遇の現在では加速度的に姿を消しており、先日もカムリが終売するというニュースが驚きをもって伝えられたばかり。
そんな状況だけに、すでにモデルラインアップのなかにセダンを持たないメーカーも存在しており、三菱もそんなメーカーのひとつとなっている。
過去にはランサーやギャランを筆頭に、ディアマンテやデボネア、ミラージュなど多くのセダンをラインアップしていた三菱だが、なかでも複雑な出自を持ち、日本ではほとんど知られることなく姿を消していったセダンがあった。それが「カリスマ」である。
「神からの授かり物」という意味のギリシア語が由来というハードルの高すぎる車名を与えられたこのモデル、じつは日本ではなくオランダで生産されたものを日本に輸入して販売されていた。
このカリスマを生産していたのは、オランダの自動車メーカーであるネッドカー(当時)の工場で、1990年代初頭に存続が危ぶまれた際、オランダ政府が事業を継続するために政府と三菱、そしてボルボの3つが合弁会社を立ち上げたものだった。
そのため、カリスマはボルボのS40/V40(ともに初代)とプラットフォームを共有する兄弟車となっており(エンジンは三菱製の1.8リッターを搭載)、メインマーケットが欧州ということもあって、その欧州車テイストの乗り味は一部の好事家から高い評価を集めていた。
とはいえ大方の評価は地味で凡庸なセダンというもので、兄弟車のS40/V40のように輸入車であるという華もなく、日本ではマイナーチェンジがなされることもなく、1996年10月の登場からわずか3年ほどの1999年には早くも輸入が終了し、その後は在庫が細々と売られるだけとなってしまった。
一方、欧州では安定した販売が続けられ、日本仕様にはない5ドアハッチバックも存在したほか、1.6リッターガソリンや1.9リッターディーゼルなど複数のパワートレインが用意されていた。また、2004年まで販売が続けられて2回のマイナーチェンジを受けるなど、日本の不人気ぶりが嘘のようだったのである。
その知名度から、ランサーの名前が使えなかった一部欧州地域では、ランサーエボリューションを「カリスマGT」として販売されていたことを見ても、日本との人気の差が分かるエピソードと言えるだろう。