この記事をまとめると
■愛車が盗難車だった場合どうなってしまうのかを解説
■期間内であれば元のオーナーはユーザーから買い戻せる法律がある
■買い戻す際に「盗難車」だったことを証明することに手間が掛かる場合がある
愛車が盗難車だと発覚した際はどうなってしまうのか
警察庁によると令和4年の自動車盗難の認知件数は5734件。ピークだった平成15年の6万4223件に比べれば、1割以下に減少しているが、それでもまだ年間5000台以上が盗まれていて、そのうちのいくつかは中古車市場に出まわっているといわれている。
こうしたなか、万が一自分が購入した中古車が盗難車だったとしたらその後どうなるのか。
まず購入したクルマが盗難車であることを知っていた場合。これは論外。
盗難車であることを知らずに購入し、車検証の所有者・使用者が正式に名義変更されている場合、法律上そのクルマは購入した人の所有物となる。
ただし、民法第193条に、「占有物が盗品又は遺失物であるときは、被害者又は遺失者は、盗難又は遺失の時から2年間、占有者に対してその物の回復を請求することができる」とあるので、盗難被害に遭ったユーザーは、それを知らずに中古車を購入した人から買い戻すことが可能。
そして、その買い戻しの金額は、現オーナーが中古車を購入した金額と同額になる。
民法第194条
「占有者が、盗品又は遺失物を、競売若しくは公の市場において、又はその物と同種の物を販売する商人から、善意で買い受けたときは、被害者又は遺失者は、占有者が支払った代価を弁償しなければ、その物を回復することができない」
このように盗難発生2年以内であれば、その被害者が中古車購入者の購入費用と同額のお金を支払って、強制的に買い戻せる権利がある。
もっともその場合も、対象のクルマが盗難車そのものであることを盗難被害者側が証明する必要があり、陸運支局できちんと名義変更が済んでいるとしたら、その手続きに用いられた書類の署名や印鑑、印鑑証明などが偽物だったことも立証しなければならなくなるのでけっこう大変。
いずれにせよ、現在の所有者が窃盗事件と直接関わりがなく、中古車販売店などに支払を済ませ、名義変更が済んでいるのなら、警察にクルマを押収される心配もないし、捜査への協力もあくまで任意で、ということに(盗難発生から2年以上経過していれば、買い戻される心配もない)。
とはいえ、自分の購入したクルマが盗難車だったというのは後味の悪い話だし、手放そうと思って業者に買い取りをお願いしても、「盗難届が出ているクルマなので買い取れない」と拒否されることも考えられる……。
数年前、盗難したクルマの車検証と車体番号を偽造して販売し、検挙された整備業者があった。業者から購入しても、稀にこうした事件に巻き込まれることがあるぐらいなので、個人売買で書類等を偽造されていたとなると、相当厄介なことになるので、より慎重な検討を。
何事も上手い話には裏がある。相場より安いクルマだったとしても、裏があるクルマであれば、安物買いの銭失いになりかねない。
中古車は信用できるところから、信用できるコンディションのクルマを、適正価格で購入するようにしよう。