ホンダブランドの「イメチェン」も影響! モデル末期でもバカ売れるする「フリード」の強さの秘密

この記事をまとめると

フリードはホンダのコンパクトミニバン

■現行型は2016年と古いが、人気は根強い

■フリードの強さの理由に迫る

発売から7年がたった今でもシエンタを相手に健闘

 今の5ナンバーサイズに収まるコンパクトミニバンは、実質的にトヨタ・シエンタとホンダ・フリードの一騎打ちだ。トヨタのノア&ヴォクシー、ホンダのステップワゴンが現行型では3ナンバー専用車になり、5ナンバー仕様を廃止したから、シエンタとフリードが従来以上に大切になった。

 現行型の発売は、シエンタが2022年8月で、フリードは2016年と古い。そこで2022年の販売ランキングを振り返ると、設計の古いフリードがシエンタよりも多く売られていた。

 この順列になる理由は、シエンタが2022年7月まで、先代型だったからだ。そこで2022年9月から2023年2月までの登録台数を比べると、シエンタの1カ月平均は約1万台、フリードは約6300台になる。フリードは少々離されたが、それでも発売から今年で7年を経過することを考えると、新型車のシエンタを相手に健闘している。

 それだけではない。フリードの国内登録台数は、ホンダ車ではN-BOXに次ぐ2位だ。2020年に発売されたフィット、2022年に登場したステップワゴン、2019年のN-WGNよりも、フリードが多く売られている。息の長い人気車になった。

 フリードが人気を高めた理由を販売店に尋ねると、以下のように返答された。「もっとも多い購入パターンは、先代フリードから現行型への乗り替えだが、ステップワゴンが新型になってボディを拡大させ、フリードに移るお客様もいる。また子育てを終えてミニバンが不要になっても、車内の開放感や荷室の使い勝手が魅力で、他社のセレナやノアからコンパクトなフリードに乗り替えるお客様も見られる。このほかフィットやヴェゼルからの乗り替えもある」。

 以上のようにフリードは、いろいろな車種のユーザーが購入している。とくにフリードで魅力なのがシートの配列だ。2列目がセパレートタイプのキャプテンシートを割安な価格で設定した。上質な雰囲気があって座り心地も良く、2列目の中央が通路になるから車内の移動もしやすい。キャプテンシートを用意しないシエンタに比べて、フリードはコンパクトサイズながらミニバンらしさが濃厚だ。

 またホンダのブランドイメージも、フリードの売れ行きに影響を与えている。2022年にはN-BOXが1カ月平均で約1万7000台届け出され、ライバル車のダイハツ・タントやスズキ・スペーシアに比べて、約2倍の売れ行きとなった。国内で新車として売られたホンダ車の36%をN-BOXが占めた。

 そのためにホンダのブランドイメージも変わり「小さくて実用的なクルマのメーカー」になった。N-BOXとフリードは、両車ともにスライドドアを装着する小さくて背の高いクルマだから、今のホンダ車の象徴だ。「ホンダ車を買うなら、軽自動車のN-BOXか、小型車のフリード」という選ばれ方になった。

 そしてフリードは、2024年の前半にはフルモデルチェンジを行う予定だ。N-BOXも、2023年の末に次期型を披露する(納車を伴う発売は2024年になる可能性も高い)。N-BOXとフリードが新型車になると、販売にもさらに弾みが付くだろう。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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