この記事をまとめると
■自動車ライターの嶋田智之さんが新型ルノー・カングーのガソリンとディーゼルに試乗
■いつ何時も軽快に気持ちよく走りたいという人はガソリンエンジンを選ぶのがいい
■ロングドライブを疲れ知らずに楽しみたいという人にはディーゼルエンジンがおすすめ
ブラックもカラードでもガソリンとディーゼルが選べる
ルノー・カングーは初代も2代目も、背の高いユーモラスなスタイリングからは想像できない、元気のいい走りと絶妙な曲がりっぷりが楽しいクルマとして賞賛されてきた。3代目はどうかといえば、喜ばしいことにそうした性格にはまったく変わりがなかった。というよりも、むしろここはかなり大きく進化したといっていいだろう。
3代目カングーにはガソリンエンジンとディーゼルエンジンが用意されていて、ボディ同色バンパーの仕様でもブラックバンパー仕様でも、好みで選ぶことができるのがうれしいところだ。組み合わせられるのは、従来より1速多い、7速DCTとなる。
最初に走らせたのはガソリンエンジンのモデルだった。先代のガソリンエンジンは1.2リッター直噴ターボだったが、3代目では変更があって、ルーテシアやキャプチャーなどに積まれてるのと同じ1.3リッター直噴ターボが搭載されている。パワーとトルクは131馬力/5000rpmに240Nm/1600rpmだから、ルーテシアと同じチューニングと見ていいだろう。
そんなところからも想像できるかもしれないが、数値以上に活発でフィールも爽快、スポーツ系のエンジンでもないのに気持ちよく走れる、というのはルーテシアと共通してるところだ。1600rpmで2.5リッター自然吸気エンジン並みの240Nmを発生させるトルクフルで扱いやすいエンジンではあるけど、2500rpmあたりを越えると次第にパワーが盛り上がってくる感じがあって、スピードも気持ちよく伸びていく。
その加速感は、1.3リッターという排気量から想像するより強力だ。レスポンスもシャープといえる部類だし、トップエンドまで軽快にまわってくれるし、サウンドも思いのほか快く、なかなかスポーティな味わいなのだ。ブンブンまわすのが楽しくなる。
もう一方のディーゼルのほうは、2代目カングーの最後の限定車に搭載されてかなり好評だった、1.5リッターのターボディーゼル。本国では1990年代後半から採用され、熟成を重ねてきた名機といえるエンジンだ。ルノージャポンが本国に働きかけて、日本の各種規制に対応すべくテクニシャンたちが時間をかけて開発し、ようやく日本に導入することができたという経緯がある。ルノージャポンもルノー本社もツボがわかってる、というわけだ。
こちらは116馬力/3750rpmに270Nm/1750rpm。ディーゼルらしく発進の段階からしっかりとトルクの分厚さを感じさせてくれる力強いフィーリングで、それほどまわさなくてもスムースにスピードにのせていくことができる。けれど、これがまた意外や軽やかに吹け上がるし速度の伸びもいいから、ガンガンとまわしながら走って行くような楽しみも味わえる。
フィールは異なれど、総合的なパフォーマンスでいうならガソリンエンジンにまったく引けを取ってないと思う。音も静かな部類だし振動も少ないし、あらためていいエンジンだな、と感服させられる。