事故当事者は「突然クルマが現れた」と証言! 見通しのよい道路の交差点で起こる謎の「コリジョンコース現象」って何?

この記事をまとめると

■見通しのよい道路の交差点なのに突然クルマが現れて衝突事故が起こることがある

■交差点に近づけば近づくほど視野が狭くなることで起きる現象

■遠目では安全だと思っても交差点に近づいたら頭を左右へ動かして視野を拡大すべきだ

突然クルマが現れる謎現象はこうして起こる

 見通しがよく、障害物の少ない広々とした交差点での衝突事故がなくならない。交差点へ近づく前、交差する道にいなかったはずのクルマが突然現れ、双方が互いに相手に気付かないまま衝突してしまうという事故だ。運転者にしてみれば、いなかったはずのクルマが急に現れたと思うかもしれない。

 人間の視野は、左右方向にそれぞれ約100度あるといわれている。障害物のない広々とした平地で、1km先に交差する道がある場合、左右方向の約1km以上に他車の姿がなければ、安全で速度を落とさなくても先の交差点を通過できると思ってしまう。

 ところが、交差点に500m、100mと近づいて行ったとき、目の視野からすると交差する道の左右500mとか100mしか視界に入っておらず、それより外側にクルマが現われていても気付かないことになる。そのクルマが速い速度で交差点に迫っていたら、たちまち接近し、衝突の危険が高まることになる。

 つまり、見晴らしがよいからこそ、遠目でも他車がいないことを確認出来ていても、交差する道へ近づくほど確認できる視野の広さは狭まり、その間に、速い速度で走って来るクルマがあっても気付けない恐れがあるということだ。

 したがって、遠目では安全だと思っても、交差点に近づいたら頭を左右へ動かして視野を拡大し、左右からのクルマの有無を確認する必要がある。

 しかし、一般的に運転者は目に見える視界のなかや、目の動きだけで周囲を確認してしまいがちだ。首を横に振るという簡単な動作もおっくうに感じ、また前方から視界を外すことへの不安もあるかもしれない。車線変更であっても、側面にほかのクルマがいないかどうか、首を振って頭を動かし、そこに見える視界のなかで安全を確認するほうがよりよいのである。

 昨今では、センサーなどを装備し周囲のクルマの有無を補助してくれる機能もある。だが、最終的に頼れるのは自分の目での確認だろう。

 人は、情報収集の9割を目に依存しているといわれる。その目からの情報収集も、単に目の機能としての視野角だけに頼ったのでは、クルマのように移動している状況では不足する可能性がある。見晴らしのよい交差点での衝突事故も、首を振って頭を左右へ動かし、視野の拡大を促すという動作を怠ったために起こる事故だ。

 面倒に思えても、体も使いながら目の情報収集を助ける意識を持てば、より安全で、安心して運転することができるだろう。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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