この記事をまとめると
■新車販売店のセールススタッフは配属店舗を移動することはほとんどない
■担当セールススタッフが異動でいなくなるとその店舗は顧客をロストする可能性がある
■異動したセールススタッフも異動先ではアウェイ状態となり成績を上げるのが難しくなる
普通の企業は転勤があるが新車ディーラーにはほとんどない
セールススタッフが同じ販売会社であっても、配属店舗を頻繁に異動することはまずないといっていいだろう。仮に店舗間の異動があったとしても、その多くは経験年次の短い若手となっている。ベテランセールススタッフクラスでは、店長など、マネージャー業務に専従する中間管理職としての異動はあるが、現役セールススタッフとしての異動は極めて珍しいことになると聞いている。
それではなぜ、ベテランセールススタッフの店舗間異動が珍しいとされるのだろうか。それは、配属店舗での在籍年数が長いほど多くの管理ユーザー、つまりお得意様とか馴染み客とも呼ばれる、何台もそのセールススタッフから新車を乗り継いでいる顧客を多く抱えていることが大きい。
個人情報保護法もない大昔ならば、セールススタッフが抱える顧客データをそのまま持って新たな店舗で販売活動を始めるのだが、いまは個々の顧客に「異動先でも引き続きおつきあいしてもらえるか」との同意をとらなければばらない。「自宅から店が近いから」といった理由でつきあっていた顧客は当然離れることになるだろう。
ある店舗間異動の経験のあるベテランセールススタッフは、「私が異動するときは、全顧客数の約半分程度のお客様が異動先でも引き続きお付き合いしていただけるとのことでした」と語ってくれた。