この記事をまとめると
■EVで一充電走行距離を気にする声はまだまだ大きい
■バッテリー容量を大きくした分だけ一充電走行距離が増えるわけではない
■EVは基礎充電を繰り返して次の目的地までの電力を確保するのが賢い乗り方だ
技術の進化で一充電距離は伸びているが不安は拭われない
電気自動車(EV)で満充電からの走行距離を懸念する声は、収まらない。しかし、そもそもガソリンエンジン車の時代は、満タンにしても300~400kmしか走れなかった。ところが、その燃費を2倍にするハイブリッド車(HV)が登場し、それに対抗して欧州車がディーゼルターボ車を乗用車に幅広く採用するようになって、満タンで1000km近く走れるようになったところへEV時代が到来したので、落差を大きく感じるようになったわけだ。
また、給油は5〜10分で終わるが、急速充電は30分がひと区切りであり、自宅などでの普通充電は8~10時間という水準なので、給油感覚で充電を考えると、充電には時間がかかり過ぎると思ってしまう。
このため、日産リーフも初代が24kWhのリチウムイオンバッテリー容量で、200km(JC08)走れるとしたときから、今日の2代目リーフでは40kWhの容量が標準車で確保され、322km(WLTC)へと一充電走行距離を伸ばし、60kWhの容量を備えるe+なら458km(WLTC)走れるとなっても、なおEVは走行距離の課題があると大手媒体などは論評し続けている。
日産アリアは、66kWhのほかに91kWhの選択肢があるが、現在もなお当初の国内向けとして設定されたリミテッドでの数値しか知るよしがない。その性能は、2輪駆動のWLTC社内測定値で最大610kmとなっている。
輸入車では、メルセデス・ベンツのEQSが107.8kWhを車載し、WLTCで700kmという性能である。リチウムイオンバッテリー容量を増やしさえすれば、これくらいの走行距離は得られる時代になった。
対極にあるのが、今年の日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞した日産サクラと三菱eKクロスEVだ。20kWhのバッテリー容量で180km(WLTC)である。