この記事をまとめると
■アメリカでは州によっていろいろな図柄のライセンスプレートが用意されている
■スタンダードプレート以外のものはさまざまな社会活動に対する寄付を前提としたもの
■ライセンスプレートは社会に対する自分のメッセージを積極的に発信する方法のひとつとなっている
ナンバープレートは単なる登録番号ではなくメッセージだ
東京オリンピック・パラリンピックを記念して日本でも特別なデザインのナンバープレートが話題となった。海外に目を向けると、ナンバープレートにはさまざまなサイズやデザインがあり、それが国や地域の社会性や文化の象徴になっている。
たとえば、古くから自動車大国として知られるアメリカでは、州によってさまざまなナンバープレートの図柄を選ぶことができる。なお、アメリカではナンバープレートではなく、ライセンスプレートと呼ぶ。
アメリカの場合、連邦政府とは別に50の州政府がそれぞれ独立した形でさまざまな法律の対応をしており、その中で自動車に関しては運転免許の取得可能な年齢や条件が州によって大きく違う。また、ライセンスプレートに対する考え方も州によって違いがある。
たとえば、カリフォルニア州運輸局(DMV)によると、スタンダード・ライセンス・プレートは、白地に青文字だが、青地に黄文字などさまざまな種類がある。
筆者は実際、カリフォルニア州内に居住していたとき、白地に青文字のスタンダード・ライセンス・プレートを日系メーカーのスポーツカーや、アメリカ系のフルサイズピックアップトラックにつけて走行していた。
このほかには、スペシャル・インタレスト・ライセンスがある。
たとえば、環境対応、メモリアル向け、美術の普及に携わる公的な団体向け、1960年代デザインによる州の環境への対応、鯨に対する生育と保全に関する活動への対応、レイクタホ(タホ湖)やヨセミテ公園地域などの自然保護に対する活動への対応、消防士を支援する活動への対応、子どもの健康や安全に関する基金活動への対応、退役軍人の支援団体の活動への対応、乳がんに関する支援活動への対応、ペットに対する愛を示す支援への活動への対応、またスヌーピーの図柄が入ったカリフォルニア博物館を支援する活動への対応など、さまざまな社会活動に対する寄付を前提としたものが用意されている。
つまり、カリフォルニア州におけるクルマのライセンスプレートとは、単なるクルマの登録番号表示板ではなく、クルマの所有者や運転者が社会に対する自分のメッセージを積極的に発信する方法のひとつとして位置付けられているのだ。
いかにもアメリカらしい発想であり、アメリカにおけるクルマの役割が日本とは大きく違うことを見える化している良き事例だと思う。
アメリカと日本では社会環境が大きく異なるため、カリフォルニア州のような多彩なライセンスプレートを日本でのナンバープレートに置き換えて考えることは難しいだろう。それでも、日本でも今後、クルマのナンバープレートを使った日本らしいさまざまなアイディアが生まれることを期待したい。