この記事をまとめると
■車体とホイールをつなぐホイールナット
■国産車用のナットの形は3種類が存在
■ネジの軸のサイズにもバリエーションがある
じつは複雑なホイールナット!
ホイールを車体に止めているのがホイールナット。DIYで交換やローテーションする人以外でも、アルミホイールの場合は外から見ることができるので、知らない人はいないだろう。一見すると、どのメーカーのクルマも同じように思える。違いはせいぜいサイズぐらいと思うかもしれないが、じつは結構複雑なのだ。
まず形から整理すると、国産車用のナットは3つに分かれる。一番多いのは60度テーパーと呼ばれるタイプ。ホイールに当たるところが斜めになっていて、締め込むと斜め部分がホイールの受け側とガッチリとハマるので、自然と正確な位置で止まるようになっている。
そしてトヨタとレクサスが採用しているのが平座と呼ばれるもので、その名の通り、当たる部分が平らになっているのが特徴。ホイールの受け側も当たる部分が平らに窪んでいて、そこにお互いがハマることで位置決めがされる。そして注意が必要なのがホンダだ。一見すると主流の60度テーパーに思えるが、よりガッチリと位置が合うようにじつは球形になっている。
さらに違いがあって、ネジの軸自体のサイズにいくつかのバリエーションがある。具体的にはMで表される軸の太さはM10、M12、M14の3つあって、さらにネジ山の間隔が、1.25と1.5がある。もちろんどれかが合っていないと締め込んで固定することはできないので、注意が必要だ。
ナットだけ交換するのはチューニングやドレスアップのときが多いだろうが、一般的なユーザーでもスタッドレス用に新しくホイールを用意するときに、それまで使っていたナットが合わないということもありうる。ちなみにレンチをかける頭の六角部分は軸が同じでもメーカーによって違う場合があるし、マツダは2018年に一部の車種でサイズを変更している。六角の2面幅は変わってしまっても問題はないものの、車載や手持ちのレンチが使えなくなってしまうこともあるので注意が必要だ。
このようにナットひとつ取っても複雑で、万が一の場合、トラブルとまではいかなくても、ナットを別途購入することになったりすることもある。DIYでは急いで買いに走ることも。最近はOEMが増えていて、その場合は当然、供給元のメーカーの仕様となるので、複雑さに拍車をかけている状態だ。ちなみに新型クラウンで密かに話題になったように、最近は日本車でもボルトを採用している例が増えているが、トヨタ系はナット同様に平座のボルトと思いきやホンダのような球形のボルトとなる。いずれにしてもホイールを交換する場合は事前確認が大切だ。