この記事をまとめると
■大型車両にBEVが普及しない理由を解説
■大型車両や重機を動かすには莫大な電力を消費するのでバッテリーだと都合が悪いことが多い
■バッテリー交換式やトロリー式で電動化を目指している企業が複数あるので今後に期待だ
大型車の分野でなかなかBEV化が進まないワケ
現代の自動車に与えられた大きな課題は、走ることによって大気中に放出される排気ガスに含まれる有害成分、とくに二酸化炭素の排出をゼロに抑えることで、そのために動力の電動化が急ピッチで進められているわけだが、ふと街中の交通に目をやると、トラックやダンプカー、バスといった大型車の排出ガスは規制しなくてよいのか、という疑問が湧き起こってしまう。
さて、実際のところは、当然ながら乗用車だけでなく、大型車や重機のEV化も研究・開発が進められているわけだが、実用化にあたって乗用車より困難な問題を抱えているのも事実である。最大のネックは、エネルギー源となる電池の問題である。
大型車両や重機は、自身が移動するだけでなく、人や物を運搬したり、掘削、押土、整地、吊り上げ(移動式)などの作業を目的に作られたものがほとんどで、電動化した場合、仕事量(消費電力)は少負荷での移動を目的とした乗用車の比ではない。より多くの仕事をこなすためには、それに見合った電力量が必要になる。
この電源を受け持つのがバッテリー(充電池)だが、現状、大型車の仕事量をまかなえるだけの容量を持ったバッテリーの搭載がきわめて困難な状況にある。簡単に言ってしまえば、バッテリーが大型重量級になることで車両の利便性、実用性(車重の増加による積載量の低下、大容量であるため充電時間が長くなることで車両稼働率が低下するなど)が損なわれてしまうのだ。
言い換えれば、軽量コンパクトにして大容量のバッテリーが実用化されれば解決する問題でもあるのだが、バッテリーの大容量化、高効率化はEVの誕生と同時に大きくのしかかった問題で、いまもEVの発展を左右する決定的な要素となっている。