アルファードってマジで強すぎ! アジア諸国でアルファードに挑んでは散っていったライバルミニバンたち

この記事をまとめると

■東南アジアを中心とした諸外国での定点観測ではアルファードをよく見かけた

■これまでにアルファードに挑んだ挑戦車は多かったがほとんどが撃沈した

■今後のチャレンジャーとしてはジーカー009とシャオペンX9に注目

ミニバン激戦区の東南アジアで無類の強さを見せているアルファード

 筆者は訪れた諸外国の都市で時間を見ては、幹線道路にてそこを通るクルマをカメラ片手に一定時間撮影しながら定点観測するようにしている。あくまで訪れた都市での話となるが、定点観測でどんなクルマを多く見かけるか(つまり売れている)、その傾向をつかむことができるからである。

 東南アジアにて筆者が訪れたことのある、バンコク(タイ)、ジャカルタ(インドネシア)、クアラルンプール(マレーシア)、ホーチミン(ベトナム)の各都市で定点観測すると、とにかくトヨタ・アルファードをよく見かける。たいていはヴェルファイアも正規輸入販売されているのだが、アルファードがとにかく多いのである。

 タイでは正規輸入モデルのほかに、日本から日本仕様車が並行輸入されるほど人気が高い。そんなタイの首都バンコクでいままで筆者が見てきた、アルファードに挑んだものの、アルファードを超えられなかった高級ミニバンを紹介しよう。

●起亜カーニバル

 仕向け地によっては“セドナ”とも名乗る韓国起亜自動車の高級ミニバンがカーニバル。新型コロナウイルスの感染が爆発的なころにバンコクでは人気が高まっていたと聞いており(渡航制限が厳しく確認できなかったので伝聞となる)、「アルファードを凌ぐかも」ともいわれたが、あっけなくフェードアウトしてしまった。

 ちなみにベトナムでもアルファードが正規ラインアップされるまでは、高級ミニバンとして人気が高かったが、アルファード正式登場と共にあっけなくその座を譲ることとなった。

●ヒョンデ・スターリア

 近未来感覚というべきか、コテコテの高級さがウリのアルファードとは真逆に位置するような、コンセプトカーそのままともいえるスタイルがウリのスターリアは、新型コロナウイルスの感染が落ち着いた2022年に突如としてバンコクでブレイクした。

 アルファードをメインに所有する富裕層が、「キャラが異なる」として複数保有したのがその背景にあるようだが、「ファーストカー=アルファード」を崩すことはできなかった。

●MGマクサス9

 本国中国では上海汽車系のMGではなく、同じく上海汽車グループの上汽大通(MAXUS/マクサス)ブランドとして販売されているBEVラグジュアリーミニバン。スターリア人気下降とともに2023年にバンコクへ行くと、街なかで目立っていた。

 バンコク市内だけを見れば、すでに日本以上の勢いでBEV普及が進んでおり、HEV(ハイブリッド車)があるとはいえ、ICE(内燃機関)のみのアルファードとの違いもあり、お試し的なニーズが高かったようなのだが、あっという間にブームは去ってしまった。

●アルファードへの次なるチャレンジャーは?

 街なかを見ていると、中国ジーリー(吉利汽車)系となるZEEKR/ジーカーの「009」というミニバンが目立ってきている。ジーカーは、ボルボとパワートレインを共用しているモデルもあるラグジュアリーBEVブランドとなっており、その個性的なエクステリアもあり、富裕層の興味を惹いているようである。

 また、直近では3月26日から4月6日の会期で開催された「第46回バンコク国際モーターショー」開幕のタイミングでバンコクを訪れたのだが、そのときにはタイで発売したばかりでショー会場でしか見ることができなかったが、中国シャオペン(小鵬汽車)のX9というBEVミニバンが、次にバンコクへ行ったときに増殖しているかもしれない。

「アルファードに挑んだ……」として紹介してきたのだが、アルファードオーナーは2000万円近くするミニバンを所有できるほどの富豪なので、当然ながらクルマの複数保有は当たり前だ。そのため、本命車としてアルファードを持ちながら、「ほかに面白いクルマはないかな」としてアルファード以外の気になるミニバンをセカンドカーやサードカーとして所有するという購買行動があり、挑戦者はその関係を覆すことができないなか、早々にブレイクが収束してしまうというのが、筆者が考察したいままでの流れである。

 ここ最近の特徴としては、日本国内でアルファード&ヴェルファイアにPHEV(プラグインハイブリッド車)が追加されたことを受けたからかどうかは定かではないが、中国系ブランドではBEVよりPHEVの高級ミニバンのラインアップが目立っている。

 いままでは「アルファードにはない」として、BEVやPHEVをウリにしてきたのだが、アルファードPHEVがタイでもデビューすれば、アルファードの高級ミニバン王者の地位はより盤石なものとなっていく可能性が高まっている。

 アルファードのややギラついた高級感は、日本メーカーならではの抑えのきいたギラギラ感であり、中国や韓国系ブランドが意識してガチで被るモデルを作ろうとすれば、そのギラギラ感には嫌味が出てしまうし、あえてキャラを外そうとすれば、なんともいえない薄味になってしまっているように筆者は感じている。


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小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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乗りバス(路線バスに乗って小旅行すること)
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渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

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