お金はないけどレーシングドライバーになりたい! そんな庶民の夢を後押しするマツダの「バーチャルからリアルへの道」に潜入してみた (1/2ページ)

この記事をまとめると

■マツダでは「バーチャルからリアルへの道」と称したイベントを開催

■グランツーリスモで成績が優秀だった人たちを集め選考会を開催

■選ばれたドライバーはマツ耐に1年間参戦できる

バーチャルからリアルへ!

「モータースポーツをやってみたい!」。クルマ好きであれば誰しもが1度くらいは考えるのではないだろうか? しかし、世の中の”スポーツ”というカテゴリーのひとつとして、モータースポーツを考えるのであれば、その費用は想像のとおり桁違い。

 たとえばマラソンを極めたいとなれば、トレーニング費用や遠征費やコーチング費用などが掛かるにしろ、1番最初に手を出すのはランニングシューズやウェア類くらい。せいぜい5万円もしないくらいで揃うだろう。あとは自力で走るだけだ。もうちょっとお金が掛かる自転車競技であっても、自転車本体の価格が多くを占めるので、車体さえ現実的な値段で選べばスタートは数十万〜といったところ。野球やサッカーでも、最初はせいぜい10万円前後ではないだろうか。

 しかし。クルマともなれば上記のようなスポーツと同じようにはいかない。それもそのはず。必要なのがまずクルマ。参戦カテゴリーにもよるが、それなりに走れるベース車が最低でも数十万(個人売買であればより抑えられるかもしれないが)。そこにタイヤやらブレーキパッドやら個人の装備やら……ナンバー付き車両であれば車検や保険も必要だし、ナンバーがない車両ならば積載車が必要だ。特殊な環境にいなければ都度レンタカーの積載車を借りることになる。

 トップクラスのモータースポーツであるF1やスーパーGTなんてのは、年間数十億どころか数百億以上かかるともいわれているので、モータースポーツへの参加に足が向かないのも無理もない。

 しかし、世の中お金といいながらも、そんなことばかりいっていたらいつか終焉を迎える。誰も挑戦しなくなれば、人材の発掘もできない。なら、業界でできることはなにか? 敷居を下げること。

 マツダでは3年前から、ユニークな取り組みを行っている。そのひとつが今回紹介する、4月24日に筑波サーキットで行われた、MAZDA SPIRIT RACING チャレンジプログラム「バーチャルからリアルへの道」だ。

 これは、お馴染みのグランツーリスモのオンラインイベントでまず予選を行い、好タイムを記録した人を参加者約9000人のなかから28人にまで選考。14人ずつにわけて実際にサーキットを使ったトレーニングなどを通じてさらに選考。最終的に6名ほどにまで選抜して、マツダが主催する耐久レース、マツ耐の全6戦に年間を通して参戦するというもの。

 マツ耐にはワークスとも呼べる体制で挑むので、メーカーが選んだ猛者が鎬を削ることになる。筆者も2024年にマツ耐に参戦したが(ロードスターではなくRX-8)、さすがエリート集団だけあって、その走りはベテラン勢顔負け。将来有望な人たちで固められていた印象であった。

 今回のプログラムの内容を説明すると、初日は筑波サーキット コース1000にて、1台のロードスターを2名でシェアして、インストラクター指導のもと、車両の扱い方などを主に学ぶ。その後はコースを連続で周回し、クルマの挙動に慣れ、2日目に筑波サーキットのコース2000にて、より実践的な走り込みを行う。最後に関係者との面接を行なって終了となる。

「バーチャルってことはゲームでしょ? じゃあ若者ばっかなんじゃないの?」と思うかもしれないが、この2日間に参加した14名のうち、最高齢はなんと47歳。次に38歳、36歳、29歳…‥と続き、20代前半の若者ばかりではないというのがわかる。たとえ中年となっても、レーサーを目指せるのだ。それも、その入口がレーシングカートなどではなく、ゲームなので、初期投資としては数万円からその入口を切り開くことができる。

 話を聞くと、「僕はハンコン(ステアリング型のコントローラー)をもっていなくて、パッド(一般的なボタンで操作するコントローラー)でいつもやってます」なんて人もいたので、限りなくお金をかけずにチャンスをものにできるのだ。今回の参加者たちがそれを証明している。


この記事の画像ギャラリー

WEB CARTOP 井上悠大 INOUE YUTAI

編集者

愛車
ホンダ・シビックタイプR(EK9)/スズキ・ジムニー(JA11)
趣味
写真/ドライブ/サーキット走行/クルマ弄り/スノーボード/ダーツ/自転車/その他多数
好きな有名人
大泉 洋/織田裕二/篠原みなみ

新着情報