電動化とか言ってもやっぱホンダはエンジンでしょ! V2にV3に直5にV5に水平対向6までホンダの歴史にはありとあらゆるエンジンが揃っていた!!

この記事をまとめると

■4輪車以外にも目を向けるとホンダが生産するエンジンは多種多様だ

■現行で最大なのは船外機用で5リッターV8 VTECエンジンが用意される

■そのほか市販間近のバイク用のV型3気筒・電動過給エンジンは注目だ

ホンダのエンジンはいまでも多種多様

 ご存じのとおり、ホンダは2輪にルーツをもつ会社で、現在も4輪・2輪のほか船外機や発電機、耕運機などを製造している。つまり、それだけ多彩なパワートレインを有する世界屈指のエンジン製造企業なのだ。

 現在、国内での4輪ラインアップを眺めてみると、軽自動車用に3気筒エンジン、登録車においてはすべて4気筒エンジンとなっているため、ホンダが多様なエンジンを用意していると聞いても「ほんとうに?」と思ってしまうかもしれないが、2輪や船外機を見ていくと、ホンダのエンジンが多種多様であることが理解できる。

 2輪でいえば、単気筒や並列2気筒があり、さらにフラッグシップとして水平対向6気筒まである。

 そんなホンダの誇るエンジン群において、最大排気量かつ最多気筒数のエンジンは船外機「BF350」シリーズが搭載するエンジンだろう。

 この製品名は、連続最大出力に由来するもの。すなわち350馬力を発生するエンジンを積んでいる。

 排気量は4952cc、バンク角60度の水冷V型8気筒と、ホンダの量産エンジンとして最強といえるプロフィールとなっている。ボア×ストロークは89.0mm×99.5mm、SOHCヘッドながら気筒あたり4バルブかつVTEC機構を備えるというあたりもホンダらしさ満点のエンジンだ。

 なお、BF350シリーズの価格帯は390万5000~401万5000円。「グランプリホワイト」のカラーが設定されているのも、ホンダの自信を示しているといえそうだ。

 2輪で注目したいのは、各地のモーターサイクルショーでお披露目されて話題を集めた、バンク角75度のV型3気筒エンジンだろう。前方2気筒、後方1気筒というレイアウトは、かつての2サイクルV3エンジンを思い起こさせるもので、懐かしく感じるオールドファンがいるかもしれない。だが、注目なのは2輪車として世界初となる電動過給機の採用だ。

 詳細なスペックは未公表だが、ターボチャージャーのような遠心式の電動スーパーチャージャーは、エンジン回転数と過給圧を分離して制御できるのが特徴。ハイレスポンスかつトルクフルという新しいエンジンフィールを実現していることが期待できる。

 この時代に、あえて他に類を見ないV型3気筒エンジンを新規開発するというのは、まさに「エンジンのホンダ」といった印象を受ける人も多いのではないだろうか。

 思えば、ホンダのエンジンラインアップを振り返れば、他メーカーでは見かけないようなエンジンが数多くあった。2輪モータースポーツの最高峰であるMotoGP向けにはV型5気筒エンジンを積んでいたこともあったし、4輪モータースポーツの最高峰F1にはV10やV12といったエンジンを供給していたこともあった。

 市販車でいえば、かつてビガーやインスパイアといったモデルに直列5気筒エンジンを積んでいたし、2輪のフラッグシップであるゴールドウイングの初期型は水平対向4気筒エンジンを搭載していた。

 同じく2輪でいえばVT系が積んだV型2気筒という名機もあった。4輪では直列6気筒を積んだ量産車はなかったが、2輪ではCBX1000という1リッター直列6気筒エンジンを積んだモデルがあった。

 2輪・4輪・マリンそしてモータースポーツ用エンジンを同列に並べてエンジン形式を記してみても、単気筒・2気筒(直列・V型)・3気筒(直列・V型)・4気筒(直列・V型・水平対向)・5気筒(直列・V型)・6気筒(直列・V型・水平対向)、8気筒(V型)・10気筒(V型)・12気筒(V型)といった具合になる。

 ホンダエンジンの歴史を振り返れば、世のなかに存在するほとんどのエンジン形式が揃うのではないかと思うほど多種多様なエンジンを作ってきたメーカーであるといえるのだった。


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山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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