ワールド・カー・オブ・ザ・イヤーは2年連続で韓国のKIA! 世界的な中韓の躍進にどうする日本車!!

この記事をまとめると

■2025年のワールド・カー・アワードの各部門賞が発表された

■ワールド・カー・アワードは審査員が実際に試乗したモデルのなかから選ばれる

■ワールド・カー・オブ・ザ・イヤーにはKIA EV3が選出された

2025年ワールド・カー・アワード各部門賞に日本車の姿なし

 2025年のワールド・カー・アワードが、4月16日にニューヨーク・インターナショナル・オートショーで発表された。この賞は、世界30カ国、96人の選考委員によって選考されるもので、「ワールド・ラグジュアリー・カー」、「ワールド・パフォーマンス・カー」、「ワールド・エレクトリック・ヴィークル」、「ワールド・アーバン・カー」、「ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー」の各賞に、まず各々10台のノミネート車を決定(デザイン・オブ・ザ・イヤーに関しては、識者によってあらかじめ5台がノミネートされる)する。

 ここから選考委員は自らこの10台に配点を行う仕組みなのだが、興味深いのは実際に試乗したモデルでなければポイントを付与することができないこと。投票のフォーマットには、いつ、どこで試乗したのかを明記する欄も用意されている。

 とはいえ、日頃から試乗するチャンスのないモデルが多いのも事実。そのために、ワールド・カー・アワードは、毎年ロサンゼルス・オートショーに先立って、日頃試乗する機会の少ない、あるいはデビューしたばかりのニューモデルを用意した試乗会をオーガナイズしてくれる。これによって配点できるモデルが増えるというわけなのだ。さっそく今年の各アワードを振り返ってみよう。

 まずワールド・カー・オブ・ザ・デザインを受賞したのは、VWのID.Buzz。2017年にコンセプトカーが発表されて以来、その生産化が期待されていたID.Buzzのスタイルは、ワーゲンバスの愛称でも親しまれた、タイプ2のそれを現代的にアレンジし直したもの。

 懐かしさと先進性を感じるそのボディデザインは、幅広いカスタマーに愛されることだろう。もちろん、その実用性は相当に高く、望めば後席を取り外したバンのカーゴや3列シートのロングホイールベースを選択することもできる。

 ワールド・ラグジュアリー・カーには、ボルボEX90が選ばれた。ベスト3に残ったのはポルシェのマカンとパナメーラの両車だったが、EX90はとくにインテリアのデザイン、そしてそのクオリティで高い評価を受け、見事にこの賞を獲得している。とはいえマカンとのポイント差はわずかに1ポイント。投票結果はかなりの接戦であった。

 ワールド・パフォーマンス・カーは、BMW M5、ポルシェ911カレラGTS、そしてポルシェ・タイカンGTSがファイナリストに残ったが、こちらは伝統の911、しかもハイパフォーマンスモデルのGTSが他車を制してアワードを獲得している。

 ちなみにポルシェ911カレラGTSは、エクステリアデザイン、インテリアデザイン、インフォテインメント、ダイナミクス、パフォーマンス、エフィシエンシィ、イノベーション、クオリティ、シグニフィカンス、バリューといった評価項目のすべてで、ほかの2車を完全に超越。その完成度の高さを見事に示してみせた。

 時代の象徴ともいうべき、ワールド・エレクトリック・ヴィークルには、ヒョンデのインスター/キャスパーが選考されている。コンパクトで使い勝手のよいEVとして、日本でもこれから本格的な販売が始まるインスター。KIAのEV3やポルシェのマカンを抑えての受賞は、これからインスターの販売に大きな追い風となることは間違いないところだろう。

 また、このインスターは、ワールド・アーバン・カーでも2位の座を獲得。注目の1位はBYDのシーガル/ドルフィン・ミニが僅差でそれを制している。

 そして、これらの部門賞のなかから1台が選ばれるのが、ワールド・カー・オブ・ザ・イヤーだ。栄えある2025年の同賞を受賞したのは、KIAのEV3。今回の受賞は、KIAにとっては昨年のEV9に続くもの。トータルでは2020年のテルライドを含めて、3回目の偉業となる。

 KIAの存在感は、これからますます高まっていくことは間違いない。


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山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

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フォルクスワーゲン・ポロ
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