コンパクトオープンモデルも充実
1996年には北米のセレクタリーカー、サブコンパクトカーとして開発された2代目サイノス(1995-1999)にコンバーチブルモデルを設定。さらに、150台限定でイエローのボディカラーを纏った特別仕様車も同時に追加。
こちらも前出のセリカ・コンバーチブル同様、日本で追加補強をしたサイノスのボディをアメリカのASCに送り、コンバーチブル化して日本に戻ってくるというモデルであった。エンジンは4E-FE型1.3リッターと5E-FHE型1.5リッターを用意。複数のエンジンバリエーションをもつことから見ても、かなり売る気のあったトヨタのオープンモデルということになるだろう。
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そしていよいよ1999年10月、MR-Sの市販車がベールを脱ぐことになる。トヨハチ・ヨタハチの愛称で親しまれるトヨタ・スポーツ800の再来ともいわれたオープン2シーター、ミッドシップレイアウト、後輪駆動のモデルで、欧州ではMR2ロードスター、北米ではMR2スパイダーとも呼ばれたトヨタの世界戦略オープンスポーツでもある。
ヴィッツのコンポーネントを一部流用するが、プラットフォームは専用設計で、軽量で走りに特化したミッドシップオープンスポーツを目指した力作でもある。なお、MR-Sの車名は、ミッドシップ・ランアバウト・スポーツの頭文字からきている。
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ボディサイズは全長3895×全幅1695×全高1235mmと、同時期のマツダ・ロードスターとほぼ同じ。ホイールベースは2450mmで、パワーユニットには140馬力を発揮する1ZZ-FE型1.8リッター直4DOHCエンジンを搭載。ミッションは前期型が5速MTまたは5速セミAT、後期型では6速MTまたは6速セミATが用意されていた。
当時は、マツダ・ロードスターなどをはじめとしてライトウエイトオープンスポーツが盛り上がっていた時期であり、MR-Sのカスタマイズモデルとしてモデリスタ、TRD、イタリアのザガートなどによる限定車、コンプリートカーなども続々と登場していた。1996年には986型ポルシェ・ボクスターが登場していたこともあり、プアマンズ・ボクスターなどと呼ばれたこともあった。
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たしかに、オープンカーに乗っているとカッコいいし、目立つ。風を浴びてのドライブの気もちよさもある。が、日本でオープンカーが根づかない理由には、日本には四季があり、極寒の冬、雨の多い梅雨、昨年の夏のような酷暑の夏、花粉の舞う季節もあり、オープンカーを楽しめる機会、期間が少ないことが挙げられる。
また、ホンダS660に代表されるように実用性に欠けるパッケージにならざるを得ないことがあるかもしれない。オープンモデルが人気であるアメリカ西海岸のような、1年を通して気候が安定した雨の少ない地域がうらやましくも感じてしまう。
とはいえ、家に屋根つきのガレージがあり、ファミリーでもセカンドカーとして乗れるのであれば、クルマ好きとしては一生に一度でも所有してみたくなるのがオープンカーではないだろうか。
2025年4月上旬現在、MR-Sの中古車を検索してみると、なんと160台が掲載されている。価格は約80万円から200万円となっている。意外に走行距離の少ないタマも見受けられるが、20年前後を経たオープンモデルなので、幌の状態が気になるところではある。が、幌やハードトップの供給はいまでもあるようだ。