
この記事をまとめると
■サーキットのコースサイドなどにはタイヤカスが多く散乱している
■クルマの走らせ方が一般道とは大きく異なるのでタイヤに大きな負荷がかかる
■競技用タイヤやサーキットの路面は一般のものと異なるがゆえにタイヤカスが発生しやすい
サーキット走行時にタイヤカスがでるワケ
サーキットの路面はよく見ると、レコードラインとそうでない部分にはけっこう大きな違いがある。
レコードライン上のアスファルトは比較的きれいだが、それ以外は大小のタイヤカスがけっこう散乱していて汚れている。一般道の路肩ではほとんどタイヤカスなど見かけないのに、なぜサーキットにはこれだけタイヤカスが溜まるのか。
その理由は大きくわけて3つある。
・クルマの走らせ方の違い
サーキットではより速いタイムを出すために、フル加速、フルブレーキ、最大Gのかかったコーナリングを繰り返すので、タイヤにはつねに大きな負荷がかかり続ける。そのためタイヤの温度も高温になり、ゴムは一段と柔らかくなり、そこに高負荷、高荷重がかかり続ければ、当然タイヤの摩耗も激しく進み、その結果タイヤカスもより多く発生する。
・路面のミューが高い
サーキットの舗装は、一般道路と構造上はほとんど同じだが、強いGに耐え,より摩擦係数の高い路面になるように開発された材料を使用している。摩擦係数=μが高いということは、それだけグリップしやすいということだが、グリップしやすいぶんだけ、タイヤが削れやすく、摩耗が進むので必然的にタイヤカスが発生しやすい。
・タイヤのコンパウンドが柔らかい
タイムを出すのに適したハイグリップタイヤは、普通のタイヤよりも柔らかいゴムを使うことで、大きなグリップ力を発揮している。その反面、タイヤのゴム=コンパウンドが柔らかいということは、耐摩耗性が低く、しかも接地面積の大きい、太いタイヤが好まれるので、余計にタイヤが消耗しやすく、多くのタイヤカスを生み出してしまうのだ。
これらの理由が重なって、サーキットのコース上には大量のタイヤカスが溜まっていくというわけだ。
走行中、このタイヤカスを踏んでしまうと、タイヤの表面にタイヤカスが付着して、タイヤのグリップが大きく落ちるので、レース中、ライバルと接戦になったときは、あの手この手で相手がダーティーラインを走らざるを得ない状況を作り出すのもテクニックのひとつとされている(タイヤカスは、「マーブル」ともいわれ、1度付着すると数周は張り付いてとれない)。
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