
この記事をまとめると
■トランプ大統領は「アメリカ車が日本で売れてない」と嘆いている
■年間販売台数で見るとアメ車は1万台以上売れており特段売れていないわけでもない
■日本車はクオリティが高く国内にメーカー数も多いが故に輸入車が選ばれない傾向にある
アメ車って本当に日本で売れてない?
ドナルド・トランプアメリカ合衆国大統領は、たびたび「日本ではアメリカ車がほとんど売れていないのに、日本車はアメリカで数百万台も売れている!」と、その不公正ぶりを声高に叫んでいる。
しかし、JAIA(日本自動車輸入組合)統計ベースで筆者がアメリカンブランドを合算(あくまで筆者が計算)した、2024事業年度(2024年4月から2025年3月)締めでの日本国内でのアメリカンブランド車の年間販売台数は1万722台となった。同じく2024事業年度締めでのフレンチブランドの総販売台数(筆者試算のもの)は1万2449台となったので、際立ってアメリカ車だけ売れていないというわけではない。
ブランド別でみると、日系ブランド(海外生産モデルがカウントされている)も含んだランキングでは、ジープが9721台を販売し、12位に入っているのだ(プジョーやフィアットなどよりも売れている)。
JAIA統計での2024事業年度締めでの輸入車の年間総販売台数は33万830台、一方で、2024事業年度締めでの日本車(軽自動車含む)の年間総販売台数は457万5476台となっている。日本国内における輸入車全体の販売シェアを試算すると、約7.3%となっている。
つまり、アメリカ車がというよりも、そもそも輸入車の国内販売台数が少なすぎるのである。しかも、その輸入車のなかでもドイツ車がかなり幅を利かす状況となっており、アメリカ車だから売れないというよりは、ドイツ車以外の輸入車は日本では売れないといったほうがいいかもしれない。
一方で、日本車だけの統計をみても、軽自動車が全体の4割に迫ろうとしており、いびつな販売状況が続いている。少子高齢化となるなか、高齢となってもマイカーがなければ生活が成り立たない地域が日本には多い。高齢ドライバーの事故がクローズアップされるが、公共交通機関の先細り状況が続き、可能な限りマイカーをもち続けなければならない状況が続いているのだ。年金生活となり、後期高齢者になるにつれ、マイカーを維持費の安い軽自動車に代えていく人も少なくない。それが統計にも表れているといえよう。
世界的にも特異な市場ともいえる日本の自動車市場。日系メーカー車の販売台数が圧倒的に多いなかでは、輸入車は嗜好品という色合いが強くなる。アメリカ車はボディサイズが大きく、排気量も大きめなものが多いので燃費性能も悪いという印象が先行しているが、アメリカ車が好きというひとは、あまりそのあたりを気にせずに所有するので、結果的に趣味性の高いフランス車に迫る販売台数を日本でも残しているともいえよう。
そして、そのほとんどはジープブランドとなる。ジープブランド車はいまどき驚くほどの大排気量ということはなくなっている。ただ、ボディは大きいものも多いし、モデルによってはトラック並みに小まわりがきかないものもあるが、それがよく売れているので、単純に大きいだけが売れない理由でもないものと考えている。