よくないイメージがいまだに残っている
先日、一連のトランプ関税の話題を受け、あるテレビ局がアメリカ車販売店へ取材に行くというリポートを見た。しかし、出向いたのはジープやシボレー、キャデラックなど日本国内で展開している正規輸入車を取り扱う正規取り扱いディーラーではなかった。
アメリカ車ではとくに目立つのだが、正規モデルとして日本で販売されていないものを中心に、アメリカ国内で買い付けたアメリカ国内仕様車両を個人輸入して販売する業者が多く存在する。当然、日本仕様ではないので、多くのモデルでは灯火類の色が違う都合上、それらの色を日本の法にあうように変えたり、必要な警告灯を後付けする作業が発生するとお店の関係者は答えていた。
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また、通関手続きも1台当たり200万円かかると紹介されていた(個人輸入なのでそれなりにかかる)。アメリカ車に乗ろうとすると、それ相応の手間や金銭的負担がかかるとリポートしたいように見えたのは、筆者だけではないはず。誤解を与えないためにも、このテレビ番組に関してはもう少しきめ細かなリポートにしてほしかったと、筆者は感じている。
1980年代後半、日米自動車摩擦といわれるほど日本車が怒涛の勢いで日本からアメリカへ出荷された。その後、摩擦解消のためもあり、続々と日本メーカーがアメリカ国内の雇用に貢献する意味もあり、アメリカ現地での生産に乗り出した。その当時、日本のテレビ局ではアメリカ車の没落と日本車の繁栄といったコントラストのリポートを多く放映していた。アメリカから出荷されてきたアメリカ車のドアの内張りを開いたら、ジュースの空き瓶が出てきたなどといったシーンをいまでも筆者は鮮明に覚えている。
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その当時のアメリカ車の品質は決して褒められたものではなかったが、ことさら大げさに取り上げられていたのも確かで、その印象がいまもなお日本ではアメリカ車についてまわっているようにも見える。
国内に乗用車だけで8メーカーもあり、しかも品質としては申し分ないのであれば、あえて輸入車を選択するというのには、現実問題なかなか厳しいものがある。
トランプ大統領も、「アメリカ車をもっと買え!」ではなく、「輸入車販売をもっと拡大しろ!」としたほうが、日本の消費者の支持も得やすかったし、それが功を奏して日本におけるアメリカ車販売にも弾みをつけることになったのではないかと考えている。