この記事をまとめると
◼︎立山黒部アルペンルートではトロリーバスが2024年11月末まで運行していた
◼︎トロリーバスの廃止に伴ってBYD製のEVバスが8台導入された
◼︎2025年4月15日より室堂から大観峰までの約10分の区間で運用される
国立公園のインフラをBYDが担う
立山黒部アルペンルートと呼ばれる人気観光地を、きっと多くの人が耳にしたことがあるのではないだろうか。
富山県から長野県に聳え立つ日本アルプスをぶち抜き、一気に両県側に渡れるもので、最大で20mもの高さになる雪の大谷(通称:雪の壁)や、ドキュメンタリー番組や映画などで幾度となく伝えられてきた、日本最大のダムである黒部ダム(黒四ダム)があるエリアが、ここ、立山黒部アルペンルートなのだ。
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ここの観光ルートは、黒部ダム建設時に掘ったりしたトンネルを主に使って、人々を輸送している。しかしここは、自然豊かな国立公園の一部。天然記念物の雷鳥なども生息しているほか、マイカー規制も敷かれており、一般車の走行は原則NG。許可を得たバスしか走っていない。
そんな事情もあり、ここ立山黒部アルペンルートで使われているバスは、雪の大谷を観光する車両以外、すべて電気バスが使われている。
扇沢から黒部ダムを繋ぐ電気バス画像はこちら
そのルートのなかでも、もっとも有名な存在が、室堂から大観峰までの10分ほどの距離を繋ぐ、1996年から2024年11月30日まで運行されていたトロリーバスだ。簡単に説明すると、このトロリーバスは、バスという名前こそついているが、扱いは電車という区分で、正式名称は「無軌条電車」という。トンネルの上部に架けられた電線から電気を得て走っていたのだ。
立山黒部アルペンルートで使用されたトロリーバス画像はこちら
つまり、排ガスゼロなので環境にやさしい車両ということになる(1995年以前はディーゼルのバスを使用していたが、排ガスの問題でトロリーバスとなった)。なお、最高速度は40km/hほどで、8台が導入されていた。ベース車は日野のブルーリボンだ。
日本では唯一、ここの区間でしかトロリーバスは走っておらず、とても貴重な存在であったが、車両の老朽化などもあり、前述の2024年11月30日にて運行を終了した。
その後継車として、4月15日から運行が始まったのが、新たに導入されたBYD製の電気バス「K8」だ。台数は、トロリーバス同様に8台が導入され、6台が常時運行。2台は予備車両として運用されるとのこと。
立山黒部アルペンルートで運用されるBYD製EVバス「K8」画像はこちら
BYD商用車部門の副社長を務める石井澄人氏は、「このプロジェクトが始まったのはじつはいまから4年も前、トロリーバスがまだまだ運行されているころだったんですね。で、車両を実際にもち込んでちゃんと使えるかどうかをチェックしたのが2年半前。これだけの時間をかけ、この場所に弊社のバスを導入できるのはとても嬉しいく思いますし、記念すべき日だと思います。ここ(室堂)に来る前に乗ったバス(扇沢から黒部ダム)は、日本のディーゼルバスを改造してEV化したものです。関係者の方からは、『次はこれ(K8)だね』なんてお声も頂いております。ここ、立山黒部アルペンルートの環境にEVバスはベストマッチだと思っていますので、今後のご支援もお願い致します」と語った。
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