この記事をまとめると
■最近のクルマにはエンジン全体を覆う樹脂製カバーが多く装着されている
■美観や防音性を高める一方でユーザーの整備意識は希薄になりがちだ
■プロに任せる構造と日常点検の推奨という二律背反が存在している
美観のためのエンジンカバーだが……
いまのクルマには、エンジンカバーを装着した車種が多い。ボンネットを開くと、エンジンやハイブリッドシステムなどのメカニズムが搭載されているが、その上に樹脂製カバーが装着されている。エンジンカバーのサイズはさまざまで、シリンダーヘッドの上側だけを覆うタイプから、エンジンルーム全体をカバーするタイプまで見られる。
シリンダーヘッドの上側を覆うタイプのエンジンカバー画像はこちら
メカニズムが好きなユーザーにはエンジンカバーは邪魔に思えるだろうが、いまではそのようなマニアは減った。むしろ、点検やオイル交換などを割安に実施するメンテナンスパッケージの普及などにより、エンジンやバッテリーに触る機会が減っている。
また、最近は質感が重視され、ミドルサイズ以上の車種では、収納設備の内側といった通常は目につかない部分までキレイに仕上げるようになった。配線やパイプを隠すエンジンカバーが普及した背景にも、クルマをキレイに見せる目的がある。
ミドル車種以上のエンジンカバー画像はこちら
このほか、いまのクルマはノイズを小さく抑える傾向にあり、エンジンカバーに防音の役割をもたせることもある。
それにしても、エンジンカバーを見ていると「いまのクルマはメカニズムが複雑だから、素人のユーザーは触らないでほしい。メンテナンスパッケージに加入して、プロによる点検を受けてほしい」というメーカーからのメッセージ性を感じる。
その一方で、メーカーの開発者は「日常的な愛車の点検は大切だ。オイルやタイヤをときどきチェックして、安全に使っていただきたい」という。エンジンルームをキレイに見せるエンジンカバーは、矛盾を抱えた装備ともいえるだろう。