この記事をまとめると
■日産の専売特許と思われがちなGT-Rだがじつはトヨタ車にも存在した
■セリカ譲りの走りを武器にした「カリーナ」のスポーツモデルにGT-Rの名が与えられた
■一時はFFモデルにも展開されたがその名称は短命に終わった
トヨタにもあった「GT-R」
日本を代表するスーパースポーツでありながら、惜しまれつつ終売がアナウンスされた日産GT-R。もともとはスカイラインのグレードのひとつのGT-Rだったが、いまや車名にまで昇華され、GT-Rといえば日産GT-Rもしくはその前身のスカイラインGT-Rを指すといっても過言ではない。
第2世代スカイラインGT-R画像はこちら
しかし、GT-Rの呼称を使用したのは日産のモデルだけではなく、古くはいすゞのベレット(こちらは正式名称はハイフンなしのGTR)やFC型RX-7にもグレードの名前として使用されていたことがあった。
そして、トヨタでもGT-Rのグレード名をもつモデルは存在し、今回はそのひとつである「カリーナGT-R」にスポットライトを当てて紹介したい。
カリーナの登場は1970年12月のことで、スペシャリティカーとして同じタイミングでリリースされたセリカと基本コンポーネンツを共有する兄弟車として発表された。ただ、2ドアクーペとして登場したセリカに対し、カリーナは2ドアおよび4ドアのセダンとして登場しており、コロナとカローラの間を埋める車種としてリリースされている。
初代トヨタ・カリーナのフロントスタイリング画像はこちら
とはいえ、セリカ譲りの走りのよさは隠すことができず、初代の中期型からは「足のいいヤツ」のキャッチコピーでも広く愛されるようになったのだった。
そんなカリーナにGT-Rが登場したのは、3代目モデルがマイナーチェンジを実施した1983年5月のこと。それまで1.6リッターに搭載されていた2T-G型エンジンがAE86でデビューした4A-G型に置きかえられた際に、1600GTのよりホットなモデルとして60偏平のタイヤやLSDが標準装備された1600GT-Rが誕生したのである。
カリーナ1600GT-Rのフロントスタイリング画像はこちら
ただ、当時はすでに1.8リッターのツインカムターボエンジンを搭載したGT-T及びGT-TRが存在していたため、GT-Rとはいえ最上級モデルというワケではなかった。
その後、1984年5月には新たにプラットフォームをコロナと共有する前輪駆動レイアウトの4代目カリーナが登場するが、一部モデルは従来のFRモデルを継続販売し、当初GT-RなどのスポーツグレードはFRモデルに設定されていた。
トヨタ・カリーナ1600GT-Rのリヤスタイリング画像はこちら
そして1985年8月には、FFモデルに4A-G型エンジンを搭載した1600GT-Rと3S-G型エンジンを搭載した2000GT-Rが登場し、GT-Rのグレードは引き継がれるかと思われたが、1988年5月に登場した5代目モデルでは3S-G型エンジンを搭載したモデルは消滅し、4A-G型エンジンを搭載するモデルも「Gリミテッド」と改名されてしまったのだった。
トヨタ・カリーナ2000GT-Rのフロントスタイリング画像はこちら
なお、GT-Rのグレード名は1985年8月に登場した4代目セリカにも使用されており、1993年に6代目セリカが登場するまで継続使用されていた。