数十億超えのクルマも珍しくない
さっそくこの原稿を書いている段階での、オークションによる落札価格、そのトップ10あたりまでを紹介していくことにしよう。
なお、「どうせ上位を独占するのはフェラーリだろう」と考えた人はかなり鋭い。
ちなみに10位から逆に3位までをさかのぼると、1956年式の「フェラーリ290MM」、1954年式の「メルセデス・ベンツ・W196」、1967年式の「フェラーリ412P」、1957年式の「フェラーリ335S」、1964年式の「フェラーリ250LM」、1962年式の「フェラーリ250GTO」、同じく1962年式の「フェラーリ250GTO」、そしてやはり1962年式の「フェラーリ330LM/250GTO」と、まさにフェラーリの独壇場。
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それらのオークション開催日は2010年代半ばから、今年までの間に集中しているから、オークション市場におけるクラシックカー、とくにフェラーリの人気は現在でも絶対的であることがわかる。
ちなみにその価格は、混乱を避けるためUSドル表示で統一すると、10位のフェラーリ290MMから順に2805万ドル、2960万ドル、3025万5000ドル、3573万510ドル、3634万4460ドル、3811万5000ドル、4840万5000ドル、5170万5000ドルという数字だ。
ここまでのランキングを見ても、もはやこれはクルマの価格ではないと思われるかもしれないが、その上にはまだ上がある。第2位として記録に残るのは、つい先日、2025年2月1日にドイツのシュツットガルトでRMサザビーズが開催したオークションで、じつに5391万7370ドルで落札された1954年式の「メルセデス・ベンツW196Rストリームライナーヴァーゲン」。
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そして、栄えある第1位の座に現在君臨しているのが、2022年5月5日にやはりRMサザビーズがオークションステージへと導いた、1955年式の「メルセデス・ベンツ300SLRウーレンハート・クーペ」だ。その落札価格はなんと1億4300万ドル。入札の終了を告げるハンマーが振り下ろされた瞬間、まさに自動車史の歴史は大きく動いたのだ。
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1950年代当時、メルセデス・ベンツのレーシング部門を統括していたルドルフ・ウーレンハートが社用車としてそれを使い、302馬力の直列8気筒エンジンを搭載するなど、独自のメカニズムが採用されていたウーレンハート・クーペ。290km/hの最高速を可能にしたこのモデルの生産台数がわずかに2台であったという希少性も、その落札価格の大きな理由になっていることは確かだ。
それを超える価格で取り引きされるだろうクラシックカーが現れる可能性、それはかなり低いと見るべきだろう。