今後は一般人向けプランを開設予定!
さて。社員たちでフォーミュラジムカーナ体験会なるものに参加したわけだが、じつはこれ、「やってみてくださいね〜」という、ただの体験会だけではない別の目的があった。
そう語るのは、GRのカスタマーモータースポーツ部門を担当する大橋さんと石井さん。聞くと、
「こういったパッケージで、今回はフォーミュラジムカーナに関係している交通タイムス社さんを選びましたが、じつはこの内容を一般の人たちに向けて普及させて、モータースポーツの楽しさを知ってもらうキッカケにしたいんですね」と、石井さんより衝撃の発言。
さらに深掘りすると、次のようなことを大橋さんが語った。
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「モータースポーツって、やっぱりお金が掛かったり、安全性を気にする人が多いじゃないですか。しかし、我々GRがバックアップすることで、より安全に楽しくモータースポーツの裾野を広げられると考えています。今考えているのが、全国に70店舗ほどあるGRガレージで受付をして、クルマの手配から装備、参加する大会を選定し、コースで集合して走る……みたいな。大人が週末にゴルフで遊ぶやつのクルマ版と考えてもらうとわかりやすいかもしれません。やや費用が掛かりますが、社員交流会の一環で利用していただくなんてのもアリかと」
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しかし、「やってみたい」だけの人にとってはまだまだ敷居が高そうだ。石井さんは、
「免許さえあれば、ド素人の人ももちろん歓迎です。むしろそういった人たちに来てほしいですね。モータースポーツの楽しさを広げたいので。今のところ、ヘルメットやグローブ、バラクラバ(フェイスマスク)もこちらで用意し、さらには各地のGRガレージと親交のあるレーサーたちを、コーチにつける方向で調整中です。バラクラバやグローブはプレゼントしてもいいかもしれないですね。体ひとつで来てもらえればと」と、より具体的な構想も語った。
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さらに「我々はフォーミュラジムカーナに車両を提供していますが、運営側ではなく、あくまでサポートしているという立場です。なので、このイベントには、もっと多くの自動車メーカーにもかかわってもらい、一緒にジムカーナはもちろん、業界も盛り上げてほしいと考えてます。この場ではメーカー同士のしがらみとか抜きにして、協力したいですね。テントや装備などを別メーカーのイベントに貸し出すことも考えていますので、業界を巻き込んでどちらも盛り上げたいですね」と今後の展望も我々に伝えてくれた。
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やれオイル交換だタイヤやらブレーキパットの準備だのが一切必要なく、ミニバンに6人乗ってサーキットに来て、走ったらまたみんなで帰る……そんな気軽な体験が、GRのバックアップのもとできるようになる予定というのだから驚きだ。気になる参加費は、「高すぎても誰も来ないので、まだ詰めてないですが、せいぜい2〜3万円台で始めたいですね」とのこと。早ければ2025年度中には始めたいそうだ。これはバーゲンプライス!
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このような取り組み、車両を今回提供してくれたフォーミュラジムカーナの運営側はどう思っているのだろうか。担当の阿久津さんに聞いてみた。
「フォーミュラジムカーナは、大学生と企業のマッチングの場でもあります。自動車界はもちろん、モータースポーツの楽しさを若い世代の人に知ってもらい、業界を盛り上げる起爆剤になってほしいと思ってます。その一環として、社会人になってもこういった形でクルマ遊びを楽しめる場を提供して頂けるのは、我々フォーミュラジムカーナの運営目線で見ても、凄くいいことだと思います。このイベントで使用されるクルマはATとなりますが、ATでもスポーツ走行が楽しいことが乗ってもらえるとよりわかると思うので、フォーミュラジムカーナもこの企画も楽しみにしていてください」と、フォーミュラジムカーナと今回のイベントについて語った。
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では、外部から見て今回の試みはどう映ったのだろうか。20年以上美浜スーパージムカーナシリーズのコースレイアウトを担当しているジムカーナ界のレジェンド、川村さんにも聞いてみた。
「まずこのイベントは、フレッシュマンジムカーナからスーパージムカーナと名前を変え、今の形になってます。全日本クラスの選手から初めて走る選手までごちゃ混ぜで、ナンバーなしの車両までOKなんです。けど、ハイパワーなだけでは勝てない嫌らしいコースにするのが我々の務めなので、バランスの調整がこだわりです。なお、ジムカーナを愛する人たちで運営しているので、じつはスタッフはノーギャラなんです。みんなでジムカーナを楽しんでほしい。それが我々の願いなんですね」
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と、美浜スーパージムカーナへの想いを語ってくれた。続いてこのGRの取り組みについては、
「このフォーミュラジムカーナの車両を使ったチームで参加したいという話、GRの石井さんから相談されて聞いてみたらとても面白い試みだったので、快諾しました。こういった形で多くの人にジムカーナを楽しんでもらえるのはとてもいいですね。モータースポーツはとにかく金がかかります。私は昔、それでかなり苦労しました。低コストで安全に楽しめる。夢のような企画じゃないですか!」
ちなみにGRの石井さんは、川村さんにかつてジムカーナなどでお世話になった師弟のような関係なんだそう。そういった背景もあり今回のイベントが実現したという。
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ちなみに我々が参加した「5FIVEX 美浜スーパージムカーナシリーズ」だが、これは前述のように川村さんが主催して、美浜サーキットに協力してもらう形で20年以上続いている人気イベントだ。すでに我々が参加した第1戦は終了したが、「第2戦:5/3(土)・第3戦:7/19(土)・第4戦:9/27(土)・第5戦 :11/30(日)」と開催が予定されている。ライセンスも専用装備も必要ないので、かなり敷居が低く、破格で楽しめる。
丸1日走れて、男性:1万1000円、女性:9000円、初参加であればなんと6000円(※ジムカーナ競技会初参加[練習会や走行会は除く])だ。サーキットの管理人である浅井さんは、「全国でもこれほど敷居が低くジムカーナが楽しめるイベントはなかなかないと思います。ぜひ友人たちを誘って走りにきてください」とアピール。参加賞なども用意されているので、気になった人はまずエントリーすべし!
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最後に、今回のイベントで我々コーチをしてくれた津川選手と牧野選手に、今回のイベントを総括してもらった。
津川選手は、「自動車系メディアの人たちとはいえ、正直どれくらいの実力なのか不明でした。しかし、いざやってみたら、皆さん想像以上に走れて、吸収も早いので教え甲斐がありましたね! このような感じで、安価で気軽に一般の人たちにジムカーナを楽しんで貰えるなら、競技をやってる側からしたらこんなに嬉しいことはないですね」と締めた。
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牧野選手は、「フォーミュラジムカーナの初年度から携わっている身としては、あのような感じのイベントをキッカケに、より多くの人にジムカーナを楽しんでほしいなと思っていました。学生はいずれ社会人になるわけですが、こういった機会をGRが正式にリリースしたら、週末の趣味の一環として、週末の楽しみになるかもしれません。今回は交通タイムス社さんの皆さんに走ってもらいましたが、瀬川選手のイメージと同様に、皆さんレベルが想像以上に高かったですね」と感想を述べた。
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また、ジムカーナはJAFが発給する国内Bライセンスがあれば全国のイベントに出場可能という手軽さが売りでもある。スピードレンジもレースほどではないので、比較的安全でもある。そういった敷居の低さも光る。津川選手も牧野選手も、「ジムカーナ場に来たり、競技経験者にやってみたいと相談してみると、参戦している人たちはみんな親切なので、すぐにショップなどを紹介してくれるので、とてもやりやすい競技です」とのこと。
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「このGRのプランを通じて、自分のクルマでやりたいってなった場合、どんなクルマが今狙い目ですか?」と聞くと津川選手は、「やっぱりFRは楽しいですよ。このプランでもGR86ということもあるので、今手軽に狙える楽しいマシンは先代のトヨタ86(ZN6)ですね」と語る。一方の牧野選手は、「少々高いですが現行型のロードスターとかいいですよ。楽しいです。それか新車でスイフトスポーツ(ZC33S)やGR86ですかね。予算を抑えるなら先代のスイフトスポーツ(ZC32S)です」と、オススメのクルマについてもアドバイスを貰った。
牧野太宣選手画像はこちら
フォーミュラジムカーナのオフィシャルメディアとしてスタートしたことで、今回の画期的なイベントのテスト参加に繋がったわけだが、1日ですっかりジムカーナに興味が湧いてしまった。GRの思う壺かもしれないが、筆者のような人を増やすことが、GRの課題のひとつなのかもしれない。
一般の人たちが思う存分楽しめる、新たなモータースポーツカテゴリーの幕がもうすぐ開ける。
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