この記事をまとめると
■これまでの東南アジアではエッジの利いたクルマが人気だった
■最近ではタイの都市部でカワイイクルマが人気になりつつある
■今後は他国にも広がる可能性があると考えられる
東南アジアを席巻するカワイイブーム
あくまで一般論となるのだが、東南アジアで人気の高いクルマはエッジのきいた少々アグレッシブなデザインのモデルで、そういったものが男女ともに好まれていた。とはいいながらも、実際はほかの選択肢があまりなかった……といったほうが正確なのかもしれない。
しかし、いまや都市部だけを見れば、日本並みかそれ以上に豊かなように見える国も散見されるようになると、都市部の消費者を中心に多様化が進み、併せて新車のラインアップも多様化を見せてきている。
最近ではインドネシアやタイを中心に、中国系ブランド車の進出が目立っており、同時に韓国系ブランドも元気がよくなっている。このような動きは、消費者の嗜好性の多様化がその一因になっていると筆者は分析している。
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円安傾向や日本政府の政策もあり、東南アジアからも多くのひとが、日本へ観光旅行で訪れるようになって久しい。もともと日本の文化に憧れて訪れるひとも目立つようだが。単に日本へ観光旅行に出かけ、そこで日本独特のカワイイ文化に触れてハマって、母国へ帰るというひとも多いようである。
新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着き、再び海外へそれほど負担なく出かけられるようになった2022年にタイの首都バンコクを訪れると、中国GWM(長城汽車)のカワイイスタイルが売りのコンパクトBEV「グッドキャット」が街なかで目立っていた。現地で話を聞くと、高所得層のお嬢さまの足として人気が高いとのことであった。
GWM グッドキャット画像はこちら
その後、中国BYDオート(比亜迪汽車)がタイ市場に参入すると、コンパクトBEVのドルフィンをさっそくラインアップした。そして、2025年春に開催された第46回バンコク国際モーターショーにおいて、中国ジーリー(吉利汽車)はコンパクトBEVのスターウィッシュを、タイ市場での2番目のジーリーモデルとして発表した。
ジーリー(吉利汽車) スターウィッシュ画像はこちら
さらに、中国GAC AION(広州汽車のBEVブランド)も、UTというコンパクトBEVを発表している。カワイイかどうかの判断は個々の主観により異なるかもしれないが、少なくともグッドキャットを意識したコンパクトBEVをラインアップしてきたのは間違いないといえよう。
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また、第46回バンコク国際モーターショー内スズキブースには、コンパクトハッチバックでICE車となるセレリオをベースとし、ピンクとホワイトの2トーンカラーで可愛く仕上げることができるほか、かわいい装備も装着できるアップグレードパッケージ仕様車が展示してあった。
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少し前には、ダイハツの軽自動車であるムーヴ・キャンバスが日本から個人輸入され、1000万円近い価格で販売されるほど、富裕層のお嬢様のハートをつかみ人気となったこともある。
筆者が見ている範囲では、カワイイクルマが目立っているのはまだまだタイの都市部に限った話のようにも見えるが、ほかの東南アジア諸国も経済成長が進んでおり、消費者の多様性は進んでいる。
また、日本のサブカルチャーへの関心も依然として高い傾向が続いているので、タイのようにカワイイクルマのラインアップが目立っていくのではないかと考えている。