この記事をまとめると ■2025年度の「MAZDA SPIRIT RACING GYMKHANA EXPERIENCE」が開幕
■初心者向けにモータースポーツの裾野を広げるべくマツダが主催
■考え抜かれたコースやアドバイザーのレクチャーで誰でも楽しめるイベントになっていた
誰でも参加できるジムカーナイベント ジムカーナというモータースポーツをご存じだろうか。簡潔に説明すれば、広場や小規模なサーキットのなかに三角コーン(これをパイロンと呼んだりする)を設置してレイアウトされたおおむね1分前後のコースを走行する、というもの。
レースとは異なり、複数台の車両が同時に並走することがなく、走行速度も低めであることからクラッシュや事故の可能性が比較的低く、改造をしていないノーマル車両でも楽しめることから、初心者にとって敷居が低い参加型モータースポーツであることも大きな特徴だ。
とはいえ、じゃあやってみよう、とは簡単にならないのが現実でもある。いくら敷居が低いといっても、周囲にジムカーナに取り組んでいるひとがいるという環境でもなければ、右も左もわからない状態で始めてみろというのはなかなか酷な話だろう。
そうした現状を受けて、動いたメーカーがマツダだ。参加型モータースポーツの裾野をより広げるべくマツダが主催したのが、今回取り上げる「MAZDA SPIRIT RACING GYMKHANA EXPERIENCE」。モータースポーツにこれから取り組もうとするひとや、経験が浅いひとを対象として、ジムカーナを楽しんでもらおうというイベントである。
モータースポーツライセンスや、レーシングスーツのような特別な装備は不要。普通自動車を運転できる国内免許とマイカー、それと最低限の安全装備である長袖長ズボンの衣類・グローブ・ヘルメットさえ用意すれば、誰でも参加することができる。もちろん、クルマについては特別な改造はなにひとつ必要ない。
参加車両は半数くらいがノーマルカーだった印象だ 画像はこちら
このイベントの大きな特徴として、アドバイザーの存在がある。プロドライバーによって、コースの見方から走行テクニックまで、ジムカーナのいろはをじっくりと指導してもらえるのだ。MAZDA SPIRIT RACING GYMKHANA EXPERIENCE(以下、MSpRジムカーナと表記)は通年6戦の開催で、毎戦アドバイザーも異なるのだが、そのアドバイザー陣は驚くほど豪華。
2025年度の第1戦目となる今回は、F4やスーパー耐久で活躍する金井亮忠選手、全日本ジムカーナに参戦中で、若手選手育成プロジェクト「CP2」のマスタードライバーも務める河本晃一選手、そしてスーパー耐久や全日本ジムカーナに参戦を続ける山野哲也選手という面々が揃った。
左から山野哲也選手、河本晃一選手、金井亮忠選手 画像はこちら
そんなプロ中のプロたちの先導によって、まずは「慣熟歩行」と呼ばれるコースの下見を行う。参加者は3グループにわかれ、アドバイザーがコースの注意点、攻略方法などをじっくりと解説してくれる。解説といっても雰囲気は至ってフランクなもので、個別の質問に答えてくれる様子も見られた。
アドバイザーと共に行う慣熟歩行 画像はこちら
慣熟歩行のあとは、アドバイザー陣によるデモランが行われ、練習走行に移る。まず1本走って感覚を掴んだのちに、希望者にはアドバイザーによる同乗走行が用意されている。この同乗走行がスゴい。なんと、自分のクルマをアドバイザー陣にドライブしてもらえるのだ。
自分のクルマの限界を引き出すプロの走行に同乗した上で、アドバイスをもらえる。こんな貴重な機会はなかなかないし、たぶん、ジムカーナ経験者でも(むしろ経験者こそ?)興味をそそられるのではないだろうか。
参加者のクルマに乗る山野哲也選手 画像はこちら
アドバイザーの同乗で体験したことを自分の走りに活かすべく、最後にもう1本走行して、午前の部は終了となる。午後からはコースの後半が少しアレンジされ、模擬ジムカーナ大会に。ここでは一般的なジムカーナ大会と同じように、2本走行したうちの速かったほうのタイムを競うかたちとなるが、その前に本番コースの慣熟歩行と、練習走行が1本あるから安心だ。
このコース設定も、なかなか絶妙だった。まったくの初心者でも無理なく走れるように、迷うようなセクションはほとんどない。なのでカンタン、経験者には物足りない……かと思いきや、けっこうアプローチに迷うポイントが多い。ミスコースはしないけれど、タイムを縮めようと思うと結構難しい。初心者から経験者まで楽しめる、そんなコースに仕上がっていた。
アドバイザーによるCX-60でのデモラン 画像はこちら
あいにくの悪天候によって午後はフルウエットの路面だったのだが、プロドライバーによるレクチャーを受け、走行にも慣れてきたのか、参加者たちは全体的にどんどんタイムアップ。
大会形式といっても、目を三角にして他の参加者と競うのではなく、かといって適当に走るわけでもない。場内アナウンスが「ライバルは1時間前の自分です」といっていたがまさにそのとおりで、出走前の参加者の表情はみな真剣そのもの。そして走り終われば、満足げな表情でクルマから降りてくるひとが多かったことが印象的だった。
午後の走行のようす 画像はこちら
このMSpRジムカーナは参加車両のタイプ別、さらに経験者クラスなどで数クラスにわけられている。走行が終わったあとには、クラスごとに表彰式が行われ、アドバイザーたちから直接トロフィーと走行中の写真が入ったガラスフォトフレームが手渡してもらえる。
ちなみに、このフォトフレームは参加者全員に用意されるほか、アンケートに答えると別途ステキなお土産も用意されるのも嬉しい。
「MAZDA SPIRIT RACING GYMKHANA EXPERIENCE」をリポート 画像はこちら
充実したレクチャー、絶妙なコース設定、適度な走行本数、うれしいお土産つきと、細部にわたって考え抜かれた内容であったMSpRジムカーナ。ここからは、ジムカーナ初体験というひとから経験者まで、実際の参加者の声をお届けする。