日本は基本不要の「チップ」! いまアプリの普及でタクシー業界に「チップ文化」が浸透し始めていた (2/2ページ)

日本でも独自のチップ文化が存在する

 チップ文化がほぼ存在しない日本でも、昔からタクシー運転士は意外なほどチップをもらっていた。「お釣りはとっておいていいよ」というものも含んだ話であるが、バブル経済の時代、若手社員の飲み会帰りなどでも勤務先が用意するタクシーチケットを使ってのタクシー利用が平気で認められていたころには、メーター料金にチップを上乗せした金額を記入することも当たり前だったと聞いている。

 さらには金額の入っていないチケットを運転士に渡し、「好きな金額入れていいよ」といってタクシーを降りる客も多かったようだ。バブルが崩壊し、「失われた30年」に突入すると、チケット精算時には、プリント発行する受領証明書を添付し、その金額が明記されているチケット以外は認められなくなった。

 筆者は、東京隣接県の自宅へ都心からタクシーを使って帰ることがまれにあるのだが、そのときには「帰りにコーヒーでも飲んでください」と500円ほど渡すようにしている。

 そして令和のいま、スマホアプリを活用したタクシー配車サービスでは、乗車後に乗車したタクシー運転士の評価を求められるのが一般的だ。そして評価を終えると、チップを払うかという案内とともにいくつかの金額が表示される。少々気の弱い筆者はこの表示を無視することができず、ついついチップを払ってしまうのだが、この機能の登場で、いまどきのタクシー運転士はチップが得られやすくなっていることは間違いないだろう。

 インバウンド(訪日外国人観光客)、とくに欧米系ならば自国でタクシーに乗った際にチップを払うのは半ば当たり前となっている。とくに大きな旅行カバンの積み下ろしなどを運転士がすれば、それに応じたチップを日本国内でも払うようで、インバウンドの増加もチップがもらいやすい環境を作っているといっていいだろう。

 たとえ1件あたりの金額が少なくても「ちりも積もれば~」となるので、それだけでもうれしい限りなのだが、自分の提供したサービスに満足したからこそチップをもらえるのだから、金額の大小に限らず、タクシー乗務に際しての励みにもなるだろう。

 国によってはドライバーが自らチップを要求してきたり、「金額が少ない」とすごまれたりと面倒なこともあるが、あくまで任意となっているいまの日本のチップ文化はほどよいもので、サービス向上にもつながるのではないかと考えている。日本人の気質から見ても、前述したようなチップの強要ということは起こらないのではないかとも考えている。


この記事の画像ギャラリー

小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

-

愛車
2019年式トヨタ・カローラ セダン S
趣味
乗りバス(路線バスに乗って小旅行すること)
好きな有名人
渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

新着情報