フロントの軽さが効いた高いアジリティ
試乗したRWDモデルでは、最高出力342馬力のシングルモーターがリヤアクスルに搭載され、0-100km/h加速は5.9秒と公表されている。実際の走行でもその数値に違わぬ力強い加速を体感できる。
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アクセルを踏み込むと即座にトルクが立ち上がり、スムースかつ力強い加速が得られるのだが、他社BEVに見られがちな獰猛な加速Gではなく、ジェントルな加速フィールに調教されていた。
航続距離はWLTP基準で547kmとされており、日常の使用において十分な距離をカバーできている。テスラ車はCHAdeMOはアダプターを介して充電可能、さらに独自のスーパーチャージャーを首都圏中心に全国に配置。RWDは最大175kWの急速充電に対応させている。
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走行フィールは、サスペンションの再調整やハンコック社製のノイズ最適化タイヤの採用により、ハンドリングと乗り心地のバランスを図っているが、実際には路面の凸凹に対しバネレートが高く、とくに後席では突き上げが強く現れている。
マルチリンク式のリヤサスペンションはアルミダイキャスト製フレームにマウントされ、高い剛性を確保しているが、RWDゆえに後輪モーターやデファレンシャル一体型コンバーターのユニット重量、バッテリー重量、後席乗員やラゲッジなどの積載重量を考慮して硬いバネレートが与えられているようだ。
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逆にフロントまわりはモーターレスのためミッドシップ車のように軽い。ボンネットフード内にはAWDと同サイズのトランクスペースが確保されているが、容量は大きくなく、それもフロントの軽さに拍車をかけている。
したがって、ステアリングの応答性は高まり、コーナリング時の安定感も増している。車体ロールが抑えられ、フラットな姿勢でコーナリングできるので、SUVとは思えないほどアジリティに富んでいるのだ。
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ルーフは全面ガラスを採用して開放感を高めているが、結果として車体剛性には一部の周波数域において不足を感じさせられる。また、真夏の炎天下における室内温度の高まりも懸念されるところだ。
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新型モデルY RWDの価格は558.7万円からの設定で、高性能な電動SUVとしては競争力のある価格設定となっている。加えて補助金枠も最大限使えるので、400万円以下で買える地域もあるようだ。
モデルYは、デザイン、性能、快適性のすべてがバランスよく向上しており、電気自動車の新たなスタンダードを示す1台といえる。日常使いから長距離ドライブまで幅広いシーンで活躍できるBEVの選択肢としては高いプライオリティを感じさせるが、果たしてBYDやヒョンデなどの競合モデルと比較したらどんな結果になるか、機会があれば乗り比べてみたい。
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