この記事をまとめると
■バブリングはアクセルオフ時の激しい破裂音を狙ったサウンドチューニング
■もともとはターボラグ解消のために使われたアンチラグ技術が起源
■違法ではないが触媒やタービンに大きな負担をかける
元を辿ればモータースポーツで速く走るための技術
減速時にマフラーから「バンバンバンバン」という音がする「バブリング」というチューニングをする人が増えている。そもそもバブリングとはどんな効果があるのだろうか。
まず、バブリングの前にそのもととなったアンチラグシステム、またはミスファイヤリングシステムを知っておかなければならない。アンチラグとミスファイヤリングはほぼ同じもので、ターボ車のために考えられたシステムである。
ターボ車は排気ガスでタービンをまわし、その回転力でエンジンに空気を押し込む。排気量以上の空気を押し込んで、そこにたくさんガソリンを噴くことで強い爆発力が得られるというのがその仕組みだ。
ターボシステムのタービンのイメージ画像はこちら
排気ガスの圧力で空気を押し込むことで、ロスが少なく効率よく空気を押し込むことができるが、問題はそのレスポンス。アクセルペダルを踏んでスロットルが開き、エンジン回転が上がっていき、その排気ガスの圧力でタービンをまわして、それから空気を押し込んでそれが爆発してやっと強い力が得られる。デメリットはアクセルを踏んでからパワーが得られるまでにタイムラグがあることなのだ。
たくさん空気を押し込もうと大きなタービンになるほどまわりにくくなるので、さらにターボラグが大きくなってしまう。でも、大パワーはほしい。ならば、タービンをずっとまわしておけばいい! という発想から生まれたのがアンチラグ(ミスファイヤリング)システムだ。
これは、エンジン制御コンピュータ(ECU)のプログラムで、アクセルをオフしたときに、排気バルブが開いたタイミングで意図的にガソリンを噴射。燃焼室から排気管までが開いた状態でガソリンを噴射して、その状態のときにスパークプラグで点火する。すると燃焼室から排気管にかけて爆発が起き、エンジンパワーこそほとんど得られないが、その爆風でタービンをまわすことができる。
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アクセルオフの間にずっとタービンをまわしておけば、次にアクセルを踏んだときに素早くタービンは高速回転して、瞬時に過給することができ、大きなパワーがすぐ得られるのだ。
これはラリーなどで使われた技術で、アクセルオフ時に排気管内で爆発が連続して起きることで「バババババ」という音が響く。これを意図的に起こしたサウンドチューニングが「バブリング」なのだ。
アンチラグ発動中のラリーカー画像はこちら
バブリングによってアクセルを踏んだときに瞬時にパワーが得られれば意味はあるが、公道でそこまでするシチュエーションはまずない。となると、その意味はサウンドチューニングということになる。