アルコールの影響度は個人の性質によって変動する
ただし、これより少ない量だから運転していいというわけではありません。厚生労働省によれば、アルコールは運転に必要な技能や行動に対して、血中濃度0.03%よりも極めて低い時分から影響を与え、集中力、多方面への注意・反応時間などにも障害をきたすとされています。
一例として、0.01%未満から集中力が下がる、0.02%から多方面への注意力が向かなくなる、反応時間が遅れる、トラッキング技能が阻害される、といった研究結果があります。そして0.03%になるとハンドル操作がうまくできなくなり、0.04%になると視覚機能が阻害され、0.05%になると規制を無視しはじめるという影響が認められています。
呼気中アルコール検査機画像はこちら これらは欧米人に対する実験結果をもとにしていますが、日本人の約半数は少量の飲酒でも顔面紅潮、心悸亢進などのフラッシング反応を示すことがわかっており、そうした人たちはもっと低い血中濃度のうちから影響が出る可能性があるようです。
また、同じ量のアルコールを摂取しても、その人の体格や肝臓の大きさ、健康状態などによっても血中濃度が変わってきます。体内に摂取されたアルコールは、胃のなかにあるうちはゆっくりと吸収され、小腸に入ると速やかに吸収されます。
食事と一緒に摂取したか、空腹時に摂取したかによって変わってきたり、平均的な体重が軽く総水分量が少ない女性は、男性と同じ量のアルコールを摂取しても血中濃度が高くなる傾向が。さらに。胃潰瘍や胃がんで胃を切除した人は通常の人と比べて、血中濃度が約2倍になるという報告があります。
食事と共にアルコールを飲む様子画像はこちら では、アルコールが分解される時間はどうなってくるでしょうか。これはあくまで目安で、同じ人でもその時の状態によって変わってくることが前提ですが、厚生労働省では1時間に分解できるアルコールの量を「体重(kg)×0.1g程度」と紹介しています。
たとえば、酒気帯び運転に当てはまる呼気中アルコール濃度0.15mg/Lに換算されるビール500mlは、純アルコールが20g。体重60kgの人がこの量の飲酒をした場合は、20g÷(60kg×0.1g)となるので、3.33。時間にすると約3時間20分なので、4時間ほどはみておいたほうがいいということになります。
また、汗をたくさんかいたり、水をたくさん飲んだりするとアルコールがはやく分解できると思っている人もいるかと思いますが、代謝のほとんどは肝臓で行われ、その他では呼気(0.7%)、汗(0.1%)、尿(0.3~0.4%)程度の排出にとどまるため、じつは大きな違いはないとのこと。そのため少量でも飲酒をしたら、絶対に運転はせず、しっかりと休憩をとってアルコールを抜くことが大切です。
休憩グッズのイメージ画像はこちら そしていわずもがなですが、酒気帯び運転の罰則はドライバーだけに適用するわけではありません。車両等を提供した者、酒類を提供した者、同乗者にも罰則があります。飲酒をしたあとに運転をしようとしている人を見たら、絶対に協力したり同乗することはやめ、運転しないように説得しましょう。