
この記事をまとめると
■かつて日本のスペシャルティカーとして一世風靡したトヨタ・セリカ
■1989年デビューの5代目T180型は開閉式ヘッドライト採用のニューエアロフォルム
■サファリラリーで4年連続勝利しモンテカルロラリーでも優勝した実績を誇る
スペシャルティカーとして誕生したセリカ
かつて日本のスペシャルティカーのジャンルを席捲したのが、トヨタのセリカだった。筆者もまだ免許取得可能年齢以前に1970年に登場した初代セリカリフトバックのカッコよさに憧れたものだ。何しろフォード・マスタングに似ているだけでなく、マスタングに倣い、エンジンやミッション、インテリアまで自由に選べるフルチョイスシステムが採用されていたのである。
そしてセリカがクルマ好きだけでなく、多くの人の注目を集めたのが、1987年公開のホイチョイプロダクション作の映画「私をスキーに連れてって」の劇車として、三上博史扮する文男の愛車のトヨタ・カローラ II リフト(GPターボ)とともに華々しく登場した4代目となるST165型セリカGT-FOURにほかならない。原田貴和子演じる真理子と高橋ひとみ演じるヒロコの愛車であり、(路面が)「凍ってるね」という言葉を残し激走。雪道を走り、スキーに行くには4WDというイメージが定着。スキーヤーの憧れの1台ともなったのである。

映画の劇中歌にはユーミンの名曲「ブリザード」「恋人がサンタクロース」「サーフ天国、スキー天国」が使われ、当時のスキーブームを一気に盛り上げることになった。2025年2月に苗場で行われたユーミンのリゾートコンサート、45回目のSURF & SNOW in naebaでは、当時のST165型セリカGT-FOURがトヨタの協賛でライブ会場のブリザディウム近くに展示され、当時を懐かしむ往年のファンにとっては涙モノだったのだ。
そんなセリカは2006年まで製造されるのだが、忘れてはいけない1台がある。それがST165型に続く5代目、T180型(1989-1993)だ。いまでもカッコよさ爆発のリトラクタブルヘッドライト採用のニューエアロフォルムに身を包み、プラットフォームはST165型からのキャリーオーバーながら、GT-FOURのフルタイム4WDが進化。リヤデフに日本初のトルセンLSD(リミテッドスリップデフ)が装着されたほか、ラリーのベースグレード車、GT-FOURラリー、そして超レアなコンバーチブルモデルも設定。

とくに注目に値するのが、1990年に加わったホモロゲモデルだ。前後ブリスターフェンダーで武装し、ワイドボディ化されたST185H型と呼ばれるオールトラックターボの2.0 GT-FOUR RCである。