ショー会場で買えばBYDのATTO3が日本より100万円以上安い! バンコク国際モーターショーでみた中国車のあり得ない攻勢!! (2/2ページ)

販売を競うあまりに「潰し合い」に発展

 ただ、ローン審査の厳格化傾向はいまも続いているのだが、「中国系ブランド車を買ってもらうのならば審査を甘くしますよ」という動きもあると会場で聞くこともできた。

 大幅値引き、そして0%金利ローン、これだけでも魅力的なのだが、さらにショー会場限定特典としてオプションパーツ無料装着や保証期間の延長、メンテナンスパックの無料付帯など、購入特典は留まるところを知らない状況となっており、まさに中国系ブランド同士で「潰し合い」をしているように見えた。

 主催関係者からも、「ついこの前市場参入したブランドが大幅値引き販売している現状は信じられない」というコメントもあるが、中国系ブランドのまさにタイにおける“乱売”ともいえる現状については、異口同音に「なぜここまで行うのかはっきりとしたことはわからない」と語ってくれた。

 中国系ブランド以外でも深刻な新車販売不振を受け、さまざまな購入特典を用意しているのだが、中国系ブランドの動きに対しては、まさに「ドン引き」して距離をおいているように見えた。

 前述したとおり、タイではオートローンの利用が一般的となっている。そして、比較的短期間(2~3年)で新車へ乗りかえるという消費行動が目立っている。そのため、日本以上に再販価値というものが重視されている。中国系ブランドが行う、いまの乱売傾向は結果として再販価値の大幅下落を招くことは必至ともいえる。となれば、数年先には再販価値の下落を補填して販売した車両を引きとるような事態も招きかねない。

 また、販売促進を狙ってこのような動きを見せているようだが、消費者からは乱売合戦が続く状況を見て「底値がわからない」などとして買い控える動きも出てきているようである。

 ショー開催期間中の限定特典とはいえ、日本では418万円となっているBYD ATTO3が、タイ(ショー会場)では約309万円で購入可能となっている。日本も含め諸外国では「BEVは同クラスICE(内燃機関)車と価格面で比べると割高」というのが一般的な見方となっている。

 しかしここタイでは、「BEVは同クラスICE車より割安で買える」というイメージを広く消費者が抱くようになってきたといわれるほど、現状では終わりなき乱売が中国系ブランドでは展開されている。


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小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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