名優と共に思い出す劇中車! アメリカ映画に登場するクルマの車種選定は「こだわりの塊」だった (2/2ページ)

アメリカ映画における劇中車はなんらかの意味を持つことが多い

 劇中では、アル・パチーノ氏がロバート・デニーロ氏が運転するキャデラックに追いつき、パトライトをつけて停車を促すと、キャデラックのリヤウインカーが赤く点灯するシーンである。

 アメリカではいまもリヤウインカーが赤く点灯する車種が大勢を占めている。しかし日本では赤いウインカーは原則NGなので、日本に正規輸入されるアメリカ車はオレンジのウインカーに改められている。

 しかも当時はバルブ球だったこともあり、日本のように点滅するのではなく光量の増減を繰り返す減光式となっていた。赤く減光するキャデラックのウインカーが映し出されるシーンは、何か特別は演出効果があったとは思えないのだが、アメリカをそしてアメリカ車をこよなくリスペクトする筆者にとってはとても印象に残るシーンであった。

 アメリカのテレビドラマや映画では、登場するクルマには必ずといっていいほど何かしらの意味が込められることが多い。ローン審査の流れなどもあるのだが、結果的に身の丈にあったクルマにしか乗ることができないので、乗っているクルマの車格やボディタイプなどで、そのキャラクターがどんな人なのかを見せることができるのである。そのなかで違和感を覚えるようなクルマが登場したときには、スポンサーからの提供など大人の事情が絡んだものと筆者は考えている。

 ジュリア・ロバーツ氏が主演した、エリン・ブロコビッチでは、決して豊かではないシングルマザーを演じるジュリア・ロバーツ氏が最初ボロボロの初代ヒョンデ・ポニー・エクセルに乗っている。乗っているクルマでその人の社会的地位がわかるとされるアメリカでは、ジュリア・ロバーツ氏演じるシングルマザーの立場を端的に表現するために、低年式韓国車が選ばれたものと考えている。

 ヴァル・キルマー氏の訃報を聞いて、ふと思い出したのがそんなヒートのワンシーンであった。


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小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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