ワゴンとしてデザインしたわけじゃない! カッコイイと評判の「クラウンエステート」のデザイナーを直撃 (1/2ページ)

この記事をまとめると

クラウン群4つ目のモデルとなるエステートがついにデビューを果たした

■ワゴンスタイルをデザインするにあたっての狙いと特徴を聞いた

クラウンエステートはグローバル化への挑戦と日本市場への落とし込みを調和させていた

クラウンエステートのデザインにおける狙いと特徴

 3月13日、新型クラウン群の4つ目のモデルとなるエステートが発売となりました。クラウンとしてはじつに18年ぶりとなるワゴンスタイルですが、かつての佇まいとは大きく異なるようです。そこで、狙いと特徴をMid-size vehicle Company MSデザイン部 第2デザイン室 室長の宮﨑満則さんと、MSデザイン部 第2デザイン室 グループ長の小出幸弘さんに聞いてみました。

──では、はじめに。エステートのデザインを始めるに当たって、特別なキーワードなどは設定されたのでしょうか?

「いえ、とくに造形上のキーワードなどはなく、商品コンセプトである『大人のアクティブキャビン』を目指して開発を進めました。具体的にはSUVとワゴンを融合した独自の造形であること。また『スリーディメンション』を意識し、キャラクターラインなどに頼らない立体的な造形視点を重視しました」

──そもそも、なぜSUVの要素を取り込むことになったのでしょう?

「じつは最初からエステートという名前があったワケではなく、高いユーティリティをもたせることを想定していたんです。かつてのワゴンはセダンボディにリヤの荷室を加えたものでしたが、今回はボディすべてを変えて新型クラウン群共通の『革新と挑戦』と捉えたい。同時に、いま市場の大きいSUVに着目したワケです。ただ、国内にはベンチマークとなるクルマがなく、伸びやかさとSUVらしさのバランスが非常に難しかったですね」

──では、フロントから各部分について伺います。まず、フロント両端は先代のプリウスに似た空力的な「角」が設けられていますが、なぜエステートだけこのような造形になったのでしょう?

「いや、これは空力を意識したモノではないんです。正面から見たときの堂々とした品格や、佇まいの強さを表現するために角を強調させた。通常、プランビューではフェンダートップを車両内側へ絞ることが多いですが、エステートは逆に外へ向けて開いているんです。セダンでは硬い面を、スポーツでは流麗な面を表現しましたが、エステートは硬さと柔らかさの融合を試みていて、このフロントもその一環なんですね」

──フロントでは、最近のレクサス車に似たバンパー一体型のグリルが話題になっていますね

「レクサスもそうですが、欧州車など最近のトレンドでもありますね。じつは当初案は開口のない面的な形状だったのですが、PHEVのあるエステートでは開口部が必須。そこで、いま展開しているクラウン専門店のインテリアでも採用している『格子』をイメージし、グリルで表現しました。レクサスが横からのグラデーションであるのに対しエステートは下からの変化で、しっかり差別化はできていると思います」


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すぎもと たかよし SUGIMOTO TAKAYOSHI

サラリーマン自動車ライター

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いすゞFFジェミニ4ドア・イルムシャー(1986年式)
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筒井康隆 /三谷幸喜/永六輔/渡辺貞夫/矢野顕子/上原ひろみ

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