歴代最高傑作にして日本に向いた最後のレガシィ! いまなおファンの多い「4代目」の懐かしもうじゃないか

この記事をまとめると

■4代目レガシィはシリーズ初の3ナンバー車だ

■ボディは大きくなったが小まわり性能は5ナンバーサイズであった先代を上まわった

■以降のモデルはボディサイズの大型が進み人気が出ず4代目は歴代最高傑作ともいわれる

いまでも根強い人気を誇るシリーズ最高峰の4代目

 スバル・レガシィの4世代目は、3ナンバー車となった最初の世代だ。

 それまでも、2代目のグランドワゴンや3代目のランカスターは、追加車種としてオーバーフェンダー的な造形を加えたり、エンジン排気量が2リッターを超えたりしたので3ナンバーとなっていた。しかし、基準車を含め車種のすべてが3ナンバー規格となったのは、この4代目からとなる。

 4代目で3ナンバーとなる拡幅車体を採用する背景にあったのは、欧州市場への対応という販売の視点と、側面衝突対応という安全性向上のふたつの側面があった。

 それでいながら、車幅が拡幅となったことを活かし、最小回転半径を5.4mに抑え、これは前型の3代目の5.6mより小まわりできるようにしている。

 スバルは、基本的に4輪駆動車を主力としてきたので、じつは5ナンバー車の時代からレガシィは小まわりが利きにくく、狭い場所では競合他社に比べ、ハンドルの切り替えしが必要な状態だった。日々使うとなれば、結構面倒なことである。そして、3代目まで守り通した5ナンバーを超えるに際し、回転半径まで増えたのでは、初代から20年以上乗り継いだ愛用者が離れる懸念がある。そこで、最小回転半径をかえって小さくすることで、愛用者離れを食い止めたといえる。

 それが可能になったのは、じつは車幅が広がったことで、前輪の操舵角を増やすことができたためだ。

 そのうえで、4代目レガシィが人気を得た理由のひとつは、外観の格好よさだろう。癖のない素直な造形でありながら、スバルらしさ、レガシィらしさは損なわれず、洒落た様子は、あえて輸入車を選ぶ必要のないほど魅力にあふれていた。

 また、車体の拡大という負の要素を少しでも払拭しようと、アルミミウム部品や高張力鋼板などを活用した軽量化に取り組み、車種によっては前型に比べ100kg近く軽く仕上げている。

 低速トルクの不足に悩みがちの水平対向エンジンだが、電子制御スロットルの採用や、ターボエンジンはツインスクロールのシングルターボにより、それぞれ滑らかな加速を得やすくした。水平対向エンジンならではの排気干渉を抑え、排気効率が改善されたことも、より扱いやすいエンジン特性にひと役買ったといえる。

 一方で、水平対向エンジンを積むスバルらしさのひとつと捉えられてきた、ボロボロという独特な排気音は減った。

 とはいえ、3ナンバーのより上級車種という価値からすれば、それもまた上質さのひとつと考えることができた。

 モデル後期には、運転支援のアイサイトの設定も行われた。「ぶつからないクルマ」という宣伝で知られたアイサイトへの期待は高く、4代目レガシィの人気をより高めたといえるだろう。

 次の5世代目は、北米市場を重視してさらに車体寸法が拡大された。それによって、国内での使い勝手が減少した。長年愛用してきた利用者からも、ハンドルの切り替えしが増え、もはや日本では乗りづらいとの声さえあった。

 レガシィの歴史が終わる、そのはじまりが、5世代目であったと振り返ることができそうだ。その意味でも、4代目レガシィを懐かしむ声は多いのだろう。


この記事の画像ギャラリー

御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

新着情報