結局ハンドルとペダルの操作だけで走らせるのはF1ドライバーも免許取り立ての初心者も同じ! じゃあプロのレーシングドライバーは何が違うのか? (2/2ページ)

サーキットでも公道でも急のつく操作は厳禁!

 だが、雨が降るとグリップ力が下がってそうもいかなくなる。その結果、「スリップしてガードレールにぶつかった」という事故が起きるわけである。

 雨の日は、ご想像のとおり滑りやすくなるが、実際は普通に走っていれば、突然滑ってぶつかるほど滑ることはほとんどない。

 事実、雨の日だからといってサーキットでクラッシュするプロドライバーはそんなに多くない。公道において、雨が原因で事故を起こしたというプロドライバーにも会ったことがない。

 雨でグリップが下がっているなら、いつも以上に繊細なブレーキで、タイヤを路面に押し付けてグリップ力をまずは引き出す。そこからタイヤがグリップを失わないように、ハンドルをジワッと切っていく。こういった操作はサーキットでも公道でも同じというわけだ。だからこそ、プロドライバーはいつも安全に安定して走れるというわけである。

 ちなみに、サーキットにおいて最大限のグリップを引き出すには、急の付く操作は厳禁。

 急ブレーキに見えてもじつは踏み始めにわずかにその力をコントロールする時間を設けて、タイヤをロックさせず、ABSが作動しないように……それでも、できるだけ素早く強くブレーキを踏むという操作を瞬間で行うのがプロのドライビング。時間の感覚でいうと、一般人がこの操作を0.1秒単位でやっているとしたら、プロの彼らは0.01秒単位で調節しているようなイメージだ。

 ハンドル操作も同じで、映像上ではスパッと切っているように見えて、じつは切り始めの数ミリはジワッと切って、タイヤが滑らないようにコントロールしている。そのジワッとの量が一般人は数センチのところが彼らは数ミリなのだ。

 そして、F1などのフォーミュラカーになればなるほど、サスペンションのストローク量も減り、操作の量も減ってくる。その影響もあって、F1の車載映像を見るとパキンパキンとハンドルを切っているように見えるが、実際は超がつくほど細かいコントロールがなされている。

 なので、サーキットの繊細なドラテクを修得すれば、公道での操作にももちろん役立つ。より安全にスムースに酔いにくいドライビングが可能となるのだ。逆に公道で常にスムースで繊細な操作を身につけていけば、それはサーキットを走るときの強い武器になるはず。どちらのドライビングも根っこの部分は共通しているのだ。


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