この記事をまとめると
■吸排気やブーストアップを進めると純正ECUでは補正できない領域に達する
■手軽なサブコンと高度なセッティングが可能なフルコンがその解決策となる
■純正書き換えや専門ショップ選びの重要性も増し、知識と信頼が求められる
チューニングが進み、純正ECUで補正できなくなったときに必要となるパーツ
吸排気チューンにはじまり、ブーストアップやタービン交換とカスタムをステップアップしていくと、いずれ純正ECUではその変化に対して補正しきれなくなる。
その変化に対応するために必要となるのが、サブコン、フルコンと呼ばれるチューニングパーツで、これらはエンジンコンピュータになんらかの形で手を加えて、エンジンの秘めた性能を引き出すことが目的だ。ちなみにサブコンはサブコンピュータ、フルコンはフルコンピュータの略称である。
サブコンは取り付けも簡単で純正状態にすぐ戻せるのもメリット
サブコンピュータは、燃調や点火時期などの制御信号を変更し、メインコンピュータに疑似的な信号を送ることで、チューンアップしたときに最適な状態になるように整えるパーツ。取り付けも純正ECUに繋がるハーネスにサブコンを割り込ませるだけで済み、走行中でもリアルタイムでセットアップデータを変更できるので、作業完了までの時間も短くて済む。
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また、ハーネスを元どおりにすればいつでも純正に戻すことが可能であり、純正ECUをベースとしているので、ノーマルの乗りやすさ、扱いやすさをスポイルしないのも美点だ。
大昔は純正ECUの自己学習機能によって、サブコンで仕上げたセッティングしたデータがズレるという欠点もあったが、最新モデルは自己学習を取り入れたり、無効化したりする機能を備えるなど進化している。
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デメリットは純正ECUのデータの一部を変更するだけなので、すべてを書き換えることのできるフルコンに比べて突き詰めたセッティングを出すことは難しく、チューニングが進めばいずれ限界を迎えるということ。つまり、サブコンは基本ライトチューン向けのアイテムといえる。
フルコンの変更箇所はサブコンより広く無駄なく性能を引き出せる
フルコンピュータは、基本的に純正ECUと置きかえて使う独立したユニットだ。サブコンとは異なり、レブリミッターやスピードリミッターの解除はもちろん、空燃比や点火時期を筆頭に、電子制御スロットル、可変バルタイなどの制御、水温、油温、吸気温の補正など、データの変更は多岐に及び、無駄なくパワーやトルクを引き出せるのが魅力だ。
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しかし、複雑な制御(統合制御)をもつ最新のクルマは解析も難しく、下手に手を加えるとエラーが出てフェイルセーフ領域に落ちたり、チェックランプが消えないなどの不具合が出やすいので、法規対応も考えて、純正ECUと共存させるのが一般的な手法となっている。
コンピュータ単体の性能でいえば、サブコンよりもフルコンのほうが高性能だが、そのぶん商品自体も高額。また、内部データをゼロから構築する必要があり、作業時間も長い。さらに、エンジンECUのハーネスと差し替えで使えるトレーインタイプ(プラグイン)を除けば、ハーネスを新規で引く必要もあるので、時間、金額を含めて導入するためのハードルが高いのはマイナスポイントだろう。
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