【試乗】リヤ駆動でも繊細な制御で雪道をスイスイ! ボルボEX30はスムースな走りが際立つコンパクトEVだった (1/2ページ)

この記事をまとめると

■モータージャーナリストの飯田裕子さんが雪道でボルボEX30に試乗

■内外装はボルボらしさがあふれるオシャレで先進的な仕立て

■後輪駆動モデルながら雪上でも不安のない爽快なドライブを楽しめた

ボルボのラインアップ中最小の電動SUV

 2040年までにクライメートニュートラル(温室効果ガスの排出量をゼロにする)という目標をかかげるボルボは、ハイブリッド系モデルで電動化を進めつつ、BEV(電気自動車)ラインアップを展開している。2024年8月に発表されたEX30は、電動専用にプラットフォームを開発されたBEVとして、日本国内に導入された第1弾となるモデルだ。

 私も昨年の秋以降、何度かドライの舗装路でEX30に試乗したことがある。デザイン、室内パッケージ、動力性能・運動性能に快適性と、あらゆる面においてボルボのセンスをたっぷりと感じて楽しめるモデルに仕上がっていた。

 全長4235mm×全幅1835mm×全高1550mmというコンパクトなボディサイズは、ボルボのラインアップのなかでも最小モデルであるが、ボディサイズに対してホイールベースは長くとられ、室内が広く保たれている。また、最高出力は272馬力、航続距離が560kmというのは、この手のモデルのバッテリーパッケージとしてはほかにありそうでないスペックだ。もちろん、最新のADAS機能も装備されている。

 そしてデザイン。ボルボのCEOであるジム・ワーロン氏は「EX30はボルボのデザイン価値を小さなカタチで具現化したもので、機能に合わせて造形をつくるスカンジナビアン・プレミアムデザインを表現したもの」という。それを象徴するのがフロントフェイスだ。ICE(内燃機関)車のようなグリルをもつ必要がないため遮閉されたグリルに、象徴的なトールハンマーライトが相まって、たしかにひと目で「ボルボの顔」とわかる。

 さらにロングホイールベースに大径ホイール、均等なオーバーハングのバランスもいい。極めてシンプルでコンパクトなのに、存在感と個性はとても強いのだ。

 インテリアでは、最小限とされた操作系が目を引く。たとえば、4枚の窓のウインドウスイッチは2つしかなく、切りかえて使うようになっている。

 大きなタッチパネルにさまざまな機能をもたせるタイプのインフォテインメントシステムは、直感操作がしづらいものも多く、個人的には採用に賛成しかねるクルマも少なくないけれど、スマホ同様にGoogleマップが使えるルート検索やその設定、ボイス機能の進化などにより、移動中に使いたい機能の実用度はかなり高い。

ボルボEX30のインテリア

 インテリアのテクスチャには天然素材やリサイクル素材を多用しているが、ここにもセンスが感じられる。ボルボの世界観をごく自然に、気もちよく、お洒落に楽しむことができる空間に仕上がっているのだ。

 ドアノブをはじめとした各パーツには、デザインへのこだわりや高い質感が感じられ、触れる者に高い満足感を与えてくれる。空間という点に加筆しておくと、乗り心地がよく、BEVとしての静粛性が保たれているからこそ、このボルボらしい空間を自然に気もちよく楽しめるというものではないだろうか。

 今回は、そんなEX30で雪上ドライブを体験できた。快適とか楽しいという以前に、とにかく気もちがよかった。真っ白な雪景色、外界の音も雪で吸収される静寂の山間部を眺め、EX30を走らせるドライブは、気もちがいいという言葉がピッタリとくる。

ボルボEX30をドライブする飯田裕子さん

 ところで、冬道ではさまざまな路面コンディションが混在する。そんな環境下で乗るEX30は、四輪駆動モデルではなく後輪駆動モデルだった。BEVの後輪駆動モデル自体は特別ではないが、雪道を走行するのは初めて。今回の試乗で用意されたEX30は、ミシュランのスタッドレスタイヤであるX-ICE SNOWを履き、ルートについては街なかから高速道路を抜け、スキー場も点在する山間部までが推奨されていた。


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