デ・トマソ・パンテーラ最後のモデル「90Si」! 世界でたった41台しか作られなかった歴史の集大成 (2/2ページ)

パンテーラの歴史を締めくくった価値あるモデル

 そして、一連のパンテーラシリーズのラストモデルとなったのが、先日開催されたRMサザビーズのパリ・オークションに出品された「パンテーラ90Si」。別名「ノーバ・パンテーラ」(ノーバとは新しいという意をもつ)だった。デビューは1990年のことである。

 パンテーラ90Siのボディデザインは、それまでのパンテーラ・シリーズと比較して、一気に現代的に洗練されたフィニッシュになった。そのデザインを担当したのは、ランボルギーニのミウラやカウンタックを始め、数々の名作を世に残したマルッチェロ・ガンディーニ。リヤのフェンダーアーチの造形などには、彼の個性が強く表れている。

 リヤウイングは高く、それはまさにF40を意識したかのようだ。フロントボンネットの後端にも、エアロダイナミクスを意識したスポイラーが備わるのも斬新なフィニッシュだ。インテリアも一気に現代的な印象に雰囲気が変わっている。

 さらに、パンテーラ90Siは、シャシーを軽量化し、サスペンションのセッティングをリニューアル、新たな4942cc版V型8気筒OHV(ウインザー)をベースとしたものに変更。最高出力はユーロ仕様で305馬力、北米仕様では247馬力と発表され、このエンジンには電子制御燃料噴射が採用されたほか、ZF製の5速MTとの組み合わせも実現した。

 最高速は240km/hを超え、ブレーキはフェラーリF40のそれと共通のブレンボ製キャリパーと、4輪ベンチレーテッド&ドリルドディスクが装備されていた。

 パンテーラ90Siは、1994年までわずか41台しか生産されなかった。そのなかの2台はクラッシュテストに使用され、1台はデ・トマソ・ミュージアムの所蔵品となった。また、38台が存在するデリバリーモデルのうち3台は、タルガトップに改造されたという記録が残る。

 9617のシャシーナンバーをもつ出品車は、現在までの走行距離がわずかに1万8763km。それも高く評価されたのだろう、落札価格は31万3000ドル(邦貨換算約4831万円)という数字に至っている。

 パンテーラの歴史を締めくくった貴重なモデルは、その希少性もあり非常に人気が高いのだ。


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山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

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