【試乗】静かで速くて室内も広々! 新型XC90のPHEVモデルは選んで間違いナシの1台だった (2/2ページ)

新型XC90の静粛性の高さに驚き

 アクセル操作に対してスーッと音もなく軽々と転がる2.7トンの巨漢にモータートルクの偉大さを改めて感じる。バッテリー残量は満タン・満充電に近いので通常走行ではほぼエンジンは始動しない。アクセルを強く踏み込めばエンジン始動になるが、それなりの速度が出てしまうので、普段からアクセルをジワリと踏む者としては、走行モードをパワーにして状況を伺う。

 エアサスのT8はパワーユニットのレスポンスの変化とエアサスもハードに変化して、それまでの滑らかなストローク感と22インチタイヤのマスを感じていなかったが、いきなり路面からの入力の大きさに273/35扁平のタイヤの存在を感じられる。ハードなサスはボディの動きが硬くなる。

 驚きはエンジンが始動しているにもかかわらず、その静粛性の高さで、モーター走行時も含めて車外騒音、ロードノイズのたぐいもほぼシャットアウトで、無音空間のよう。これはAピラー内部に発泡剤を入れるほか、ウインドウのガラスがラミネートの合わせになることとエンジンルームとの壁、ファイアーウォールにも遮音材を追加したことでコクピットへの音の侵入を抑えたことが効く。静寂な空間はそれだけで上質な雰囲気づくりに貢献してXC90のキャラクターにマッチする。

 エンジンが介入した状態でフル加速すると0-100km/hは5.3秒と2リッター級スポーツカーと対等。もちろんこの瞬発力は市街地ではまったく無用で、通常はハイブリッドで十分。

 愛車でも頻繁に活用する操作方法はDレンジからもう一度レバーを手前に引くBモード。それはT8も同様でモーターから回生させて減速が強弱する。T8はクリープのON〜OFFが選べ、OFFでBモードにするとアクセル操作のみで停止まで行くワンペダルドライブも叶う。

 操縦性は操作に自然に応答する。バッテリーをセンターに配置し、リヤモーターも含めて前後重量バランスは前1170kg後1130kgと優れている点と、2985mmのホイールベースが前後の沈み込みを、左右のロールをエアサスが自然な姿勢変化として、乗り味が優しい。

 XC90は3列シートが標準で、さすがボルボと唸るのは、1-2-3列目でも乗員の安全性確保は同様だという。3列目を試すと、足もと、ヘッドクリアランスも170cmまでなら不自然な姿勢を取らされることもなく余裕。

 XC90の売れ線であるMHEVの2モデルの新型は遅れて上陸だが、BEVメーカーになると宣言したボルボは、それにPHEVも加えて2030年を目指す。ならばPHEVのT8をおすすめするが、唯一残念なのは外部充電が200V、つまりスローチャージにしか対応していない。といいながらXC90のラインアップからどれを選ぶか? と聞かれたら、迷わずT8だ。


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