どんだけ殿様商売なんだ! フェラーリやポルシェの「役物」にたどり着くには時間と莫大なお金が必要だった (1/2ページ)

この記事をまとめると

■フェラーリやポルシェといったメーカーの新車は車種によっては「一見さんお断り」状態

■その購入のためには資金だけでなくこれまでの購入実績と信頼がモノをいう

■ブランド価値維持のための「選別」という見かたもできる

お金をもっているだけでは買えないクルマ

 フェラーリやポルシェのディーラーで新車、それもGT3やF80といった役物を買おうとすると、「だったら、カタログモデル3台買ってください。そのあとでご相談しましょうか」などと、にわかには信じがたいことになるそうです。「ディーラーってどんだけ高飛車なんだよ!」と思われがちですが、もちろん相応の理由があるのです。ややこしくて、庶民には悔し涙しか出てこない背景をご案内しましょう。

 すでに、さまざまなブログやSNS、あるいは動画サイトでまことしやかに流れているのが、フェラーリやポルシェの新車は「一見の客には売ってくれない」という噂。じつはこれ、例外こそあれおおむね真実です。筆者の友人も暗号通貨とやらでひと儲けしたということで、「プロサングエ、欲しいのらー」と、喜び勇んで正規ディーラーに駆け込んだところ、じつに丁寧な対応ながら「再来年なら、もしかしたら」などと、実質的には断られたとのこと。

 クルマはベントレー・ベンテイガで乗りつけ、腕時計はパテック・フィリップのノーチラスWGをチラつかせるなど「金ならある」アピールをしまくったらしいのですが、無駄な抵抗に終わったようです。

 理不尽な仕打ちと思われても仕方のないところですが、なにもディーラーは意地悪をしているわけでも、売り惜しみしてプレミアがつくのを企んでいるわけでもありません。じつのところ「売れるタマがあるなら、こんな成金にだって売れるのに!」と内心では歯ぎしりしているかもしれません。とにかく、売ってくれないのは日本に割り当てられるクルマの数が決まっており、それがとても少ない台数であるためなのです。

 となると、フェラーリにしろポルシェにしろ、これまでの太客、上得意は山ほどいるわけですから、そういうヘビーユーザーが優先されてしまうことは簡単にわかる事実かと。

 で、前述の「3台買ってくれたら……」というのは、それだけ買ってくれたら得意客と認めましょう、という意味もさることながら、3台の登録やら車検やらをしているうちに「再来年のぶん」や「急なキャンセル」が出てこないとも限りません。もちろん、3台買える財力や信用が確かめられていることはいうまでもないでしょう。


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石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

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