この記事をまとめると
■2019年に初公開されて2020年に販売を開始したホンダe
■日常の使い勝手に的を絞った未来を体感させるクルマとしてホンダeは意味あるEVだった
■短命だった理由はホンダに本気で売る気がなかったことがあげられる
ホンダ初のEVとして華々しくデビューしたホンダeだったが……
ホンダeは、意欲に満ちた電気自動車(EV)だった。2019年のモーターショーで公開され、翌2020年に発売となった。ホンダは、軽自動車のホンダN360以来、スポーツカーのS800やビート、NSX、S2000など以外は、前輪駆動で乗用車を展開してきたが、市販初のEVとなったホンダeは、後輪駆動を採用し、最小回転半径が4.3mという軽自動車並みの小まわりのよさで、驚くべき利便性を都市部で発揮した。
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都市で活躍するEVとして、一充電走行距離はWLTCで259~283kmであった。空調などを利用して日常的な使い方では、200km強がひとつの目安になったのではないか。それでも、普段使いでは十分なはずだ。また、遠出をするとしても、急速充電すればよいだけの話で、逆に大容量バッテリーを車載するEVは、電気を使い切ってしまうと充電に時間を要する。そのため、高性能充電器でないと不十分との不満が生じる。
ホンダeの魅力は、インストゥルメントパネルに展開された液晶画面による未来的な内装や、そこからの情報の入手、あるいはドアミラーに替わるカメラ映像など、先進技術を積極的に取り込んだことも特徴といえる。EVであることによりクルマの新しい未来を垣間見せる、ホンダらしい挑戦する姿を体感できた。日常の使い勝手に的を絞り、それでいて未来を体感させるホンダeは、選ぶ意味のあるEVだった。
一方、充電への対応や、販売への積極性には不足があったのではないだろうか。
ホンダeの充電画像はこちら
ひとつは、販売店への急速充電器の配備が進まなかった。ホンダe発売の10年前に、日産自動車は初代リーフの発売へ向け、全国の販売店に急速充電器を設置し、40km圏内での充電を可能にした。なおかつ販売店の費用負担を和らげるため、自ら充電器を開発し原価低減を行った。これによって、日産の販売店での充電は、たとえ他社銘柄のEVであっても安心を与える環境が整った。