
この記事をまとめると
■フォルクスワーゲン・ゴルフにはW12気筒を搭載した「ゴルフGTI W12」があった
■オーナーズミーティング「ヴェルターゼートレッフェン」に向けてワンオフ製作された
■ターボ化により650馬力になったW12をミッドシップしたが製作は1台のみだった
イベントの目玉に12気筒ミッドシップのゴルフを製作
世界中の自動車メーカーを見まわしても、フォルクスワーゲンほど堅実そうなメーカーは見当たりません。むろん、イメージ戦略の勝利に違いありませんが、歴史を見てもハチャメチャなことをした記録には乏しく、いい方を変えれば「面白くない」メーカーの筆頭にすらなりそうです。
が、じつはそんな彼らもビックリドッキリメカを作って、ユーザーの度肝を抜いたことがあるのです。それは同社の屋台骨を支える世界的ベンチメーカー、ゴルフを使った、最高速325km/h、0-100km/h加速3.7秒というモンスター。これを見れば、面白味のないメーカーという汚名はきっと覆されることでしょう。
フォルクスワーゲンは世界中のゴルフユーザーが集結するイベントを定期的に開催しています。2007年はオーストリアのヴェルター湖畔でもって「ヴェルターゼートレッフェン(ヴェルター湖ミーティング)」が開催され、多くのゴルフマニアが集結したとのこと。
この年はゴルフ誕生33周年を迎えており、VWとしてもなにか目玉となるコンテンツを用意したかったのでしょう。そこで選ばれたのが、史上最強のモンスターゴルフの製作でした。5代目のゴルフが、「GTIピレリ」というハイパフォーマンス仕様をリリースしていたタイミングですから、それ以上のパワー、存在感を誇るものが企画されたのです。
一方で、当時の会長だったフェルディナンド・ピエヒ肝いりのVWフェートンは2002年の発表以来ずっと売り上げ不振が続いており、首脳陣は何かテコ入れをしないとヤバいと考えていたのも同じタイミングでした。
そこで、考えられたのが「ゴルフにフェートンのエンジン積んじゃおうぜ」という無茶なアイディア。なぜかというと、フェートンはピエヒが心血注いだW12気筒というエンジンを載せており、4気筒エンジンを横置きしているゴルフには到底載せられるわけがなかったからです。